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参考資料7 令和6年度障害者虐待事案の未然防止のための調査研究一式 (121 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59173.html
出典情報 社会保障審議会 障害者部会(第147回 6/26)《厚生労働省》
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特に、
「営利」や「その他」で経験年数の少ない職員による虐待が多いことを考えると、知
識の伝達だけでなく経験のある職員からの OJT を含めた研修を行うことが有効である(図表
7-26)
。その際、自法人内に適切なベテラン人材が不足する場合には、
(1)で述べたように、
地域の協議会と連携して、他法人との経験交流や施設見学等を行うことなども考えられる。
○他方、
「社福」での虐待者は前述の通り「非正規」が 51%となっている。
「社福」は 2010 年
代以前に開設された法人が多く(図表 7-4)、研修や OJT 等による人材育成や虐待の未然防止
に向けた組織マネジメントの蓄積が進んでいると思われるが、虐待が発生した当該施設・事
業所の虐待発生時から概ね過去 1 年間の虐待防止研修の実施状況においては、
「不明」が 34%
を占めるものの、
「全常勤を対象に実施」が 30%、
「非常勤(委託職員除く)を含めて実施」が
28%となっている(図表 7-24)ことから、非常勤や非正規等も対象とした幅広い職員に向け
た研修の充実が必要と考えられる。

(3)虐待が発生した時間帯や場所に関する考察と虐待防止に向けた観点
○虐待が発生した曜日や時間帯の回答では、「営利」では、「曜日・時間帯に関わらず常態化」
の割合が高い(図表 7-36,38)

「社福」では、

【居住支援】帰宅~就寝の時間帯」や「【居住
支援】起床~出勤の時間帯」の割合が高い(図表 38)

虐待の「常態化」は早期発見・早期対応ができていないことを示すものであり、虐待防止措
置の推進による通報義務の徹底が望まれる。
○他方、虐待が発生した場所は「居室」が 30%を占めている(図表 7-39)
。居室においてはプ
ライバシーの観点から見守りカメラの設置等は難しい面があるが、複数職員による対応の確
保等、密室性を補完するような未然防止策の更なる工夫が必要と思われる。
○また、虐待が発生しやすい時間帯と場所を組み合わせて考察すると、利用者との関わりが多
く業務負担の高い朝や夕方の時間帯における居室や共用部分における虐待が多い。グループ
ホームでの支援の特性上、1住居ごとで見れば配置人数が少ない時間帯等があることも考え
られるため、事業所全体での勤務シフトの工夫等も検討する必要がある。

(4)虐待の発生要因や組織的課題に関する考察と虐待防止に向けた観点
○「虐待の発生した背景として、特に組織的課題として考えられること」の回答において、
「社
福」では「職員間のコミュニケーションがない、少ない」が 44%、その他の組織的課題は比
較的均等な割合となっている(図表 7-48)。虐待の発生要因(図表 7-46)でみると、
「社福」
では「職員のストレスや感情コントロールの問題」の割合が最も高く 62%なっていることか
ら、グループホームの住居は地域で点在していることも多く、引き継ぎ時間やケースに関す
る打合せ、職員が揃って会議等を行う時間の確保が難しい面があることも含め、次ページに
述べるモニタリングや風通しのよい職場づくり等、職場環境の改善が必要と思われる。
○「虐待の発生した背景として、特に組織的課題として考えられること」を「営利」でみると、
「研修がされていない、外部研修へ参加する機会が与えられていない」が 52%となっており、
他の主体よりも明らかに高い(図表 7-48)

また、
「離職率が高い、職員が不足している」と「職員間のコミュニケーションがない、少な
い」が 47%、
「福祉業界未経験者が多い」も 36%となっており、人員体制の整備も不十分な
可能性がある。

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