これまでの取組の概説
ただし、このコロナ禍においては、新型コロナウイルス感染症を直接の原因として
亡くなられた方だけでなく、新型コロナウイルスのまん延に伴う社会経済状況の変化
という間接的な原因によって亡くなられた方も少なくない。その中には、自ら命を絶
つことになった方々の事例も含まれる 8。

図 2 日本の死亡者数の推移

そうしたコロナ禍における社会全体の状況変化による死亡数の評価に資するもの
としては、2022 年 5 月に同じく WHO が公表した超過死亡数の推計がある。WHO は、
新型コロナウイルスの流行が始まった時期とされる 2020 年 1 月 1 日から、2021 年
12 月 31 日までの２年間における世界各国の超過死亡数の推計を実施した 9。
WHO によると、ここでいう超過死亡数とは、上記の 2 年間において「実際に発生
した死亡数と、パンデミック発生前の数年間のデータから推計した死亡数との差によ
って計算された 10」ものと説明されている。従って、その推計値には、
「新型コロナウ
イルス感染症を直接の原因として亡くなった方だけでなく、間接的な影響、例えばパ
ンデミックによる医療制度全体への過重な負荷によって、疾病予防や治療にアクセス
できなかったことを原因として別の病気で亡くなった方々」も含み、また、
「パンデミ
コロナ禍における我が国の自殺者の状況については、「メンタルヘルス・自殺者」の項で詳
述。
9
May 2022 |WHO News release | Reading time: "14.9 million excess deaths associated with
COVID-19 pandemic in 2020 and 2021“ 及び 9 May 2022 |Journal article: “Estimating global and
coutry-specific excess mortality during the COVID-19 oandemic”（いずれも WHO ホームペー
ジ）参照
10
レポートによれば、実際の死亡件数は各国から報告されている毎月の全死因での死亡件数
（All Cause Mortality; ACM）データを使用し、パンデミックがなかった場合の死亡件数の推計
値は 2015 年～2019 年の毎月の ACM データを推計モデルに当てはめて算定している。
8

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