各論

第４章

保健所等の地域保健の体制

第１節

サーベイランス体制

の感染状況や感染源の把握・分析に必要となる HER-SYS のデータ項目の入力の徹底
を依頼した 240241。
この依頼に基づき、転帰情報のうち死亡情報については入力が一定程度進んだもの
の、保健所や医療機関の事務負担から入力されるまでにタイムラグがあったほか、重
症度の変遷については、ほとんど入力が行われず、引き続き情報の把握が課題となっ
た。
（感染拡大地域における事業所による濃厚接触者の特定等）
緊急事態措置区域や重点措置区域など、感染が大きく拡大している地域では、陽性
者の増加に伴う保健所業務のひっ迫により、自宅療養者等の健康観察や濃厚接触者の
特定を含む積極的疫学調査の実施が遅延したり、十分行うことができなったりするお
それがあった。
このため、2021 年６月４日、厚生労働省は、必要な検査が迅速に行われるよう、こ
うした地域においては、陽性者が確認された事業所が、保健所業務の補助として濃厚
接触者等の候補を特定し、これに基づき検査を実施することが可能である旨を周知し
た 242。
また、感染者が急増している地域における医療提供体制の確保等のため、８月 13
日、厚生労働省は、家庭内感染等により濃厚接触者となった医療従事者 243について、
待機期間中においても、一定の条件の下 244、毎日の検査による陰性確認によって、業
務従事が可能である旨を周知した。
（接触確認アプリ COCOA と HER-SYS の連携）
接触確認アプリ COCOA について、利用者が陽性者となった場合、その旨をアプリ
に登録（陽性登録）するためには、HER-SYS から発行される認証用の処理番号を入
力することが必要であった。具体的には、利用者が陽性者となった場合、①医療機関
2021 年 3 月の事務連絡では特に陽性者が死亡した場合の現在のステータスや死亡日付、死亡
場所の入力について、4 月の事務連絡では発生届の「感染原因・感染経路・感染地域」の施設等
区分の入力について、6 月の事務連絡ではパスポート番号等の入力について、それぞれ徹底する
よう求めた。
241
患者情報の収集に関連して、医療機関等から臨床情報を収集し、感染症の重症化因子の解明
や、診断や治療方針の改善、医薬品開発等に資する分析を行うことを目的として、2021 年４月
１日から、厚生労働省は、
「新興・再興感染症データバンク事業」を開始した。
242
本取扱いについては、その後、７月 30 日にも、首都圏や都市部を中心に感染が大きく拡大し
ている状況となり、陽性者の増加に伴う保健所業務のひっ迫により、積極的疫学調査の実施に大
きな影響が生じるおそれがあったことから、再度周知を行った。
243
８月 13 日時点では「新型コロナウイルス感染症対策に従事する医療従事者」に限定されてい
たが、同月 18 日、
「他の医療従事者による代替が困難な医療従事者であること」を要件として、
他の業務に従事する医療従事者にも拡大された。
244
ワクチンを２回接種済みであること等
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