よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


【資料1-1】令和8年度研究事業実施方針(案)(厚生労働科学研究) (112 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57788.html
出典情報 厚生科学審議会 科学技術部会(第144回 5/14)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

【期待されるアウトカム】
カネミ油症の診断基準のさらなる精緻化、新たな治療法・対処法等の発見と普及促進
を図ることにより、カネミ油症患者への支援が充実し、QOL の改善が期待できる。また、
ヒトに対するダイオキシン類汚染への対処法を幅広く普及できる。さらに、ダイオキシ
ン類のみならず様々な要因によって生じる酸化ストレス自体を軽減する手法を確立し、
幅広い疾患に対する治療法の確立に貢献する。
(2)これまでの研究成果の概要、及び政策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】食品を介したダイオキシン類等の人体への影響の把握とその治療法の開発等
に関する研究(令和7年度継続中)
○油症患者の支援と治療研究
【概要】
・全国油症一斉検診における血中の PCB・ダイオキシン類の測定方法の正確性と感度を
検証した。
・測定方法の改良によって、測定時間の短縮、及び使用する消耗品の削減を試みた。
・検診データベースの整備を行い、油症患者の死因調査を継続的に施行できる体制を構
築した。
・油症患者の生活の質の向上につながる各種セミナーの開催と油症に関する診療連携を
行った。
【成果の活用】より正確で迅速な血中の PCB・ダイオキシン類の測定方法を確立するこ
とで、油症を含めたダイオキシン中毒症が生じた場合の被害状況の詳細な把握が可能
になる。各種セミナーを通して、油症患者の生活支援だけではなく、患者同士の交流
による情報共有などが促進され、油症検診・次世代調査の参加率の増加が期待される。
○ダイオキシン類の生体内動態・次世代健康影響に関する研究
【概要】体脂肪による補正を行い、ダイオキシン類の濃度変化を検討したが、従来の報
告と同様にダイオキシン類の半減期が約 10 年の群と平均寿命よりも長い群があるこ
とが確認された。
【成果の活用】カネミ油症に限らずダイオキシン類による健康被害が生じた場合には、
人体にどの程度のダイオキシン類が残留するか、予測モデルの構築につながる。さら
に、油症患者の血中ダイオキシン類の濃度がやや低下傾向にあることに基づき、油症
診断基準の見直しを考慮する必要性についての基礎的データを得た。
○ダイオキシン類の毒性を緩和する治療法の確立
【概要】
・ダイオキシン類によって活性化された AHR が炎症を起こすメカニズムにおいて、活性
酸素の産生による酸化ストレスが重要な働きをすることが明らかとなった。糖尿病治
療薬であるメトホルミン、漢方薬である黄連解毒湯にこのメカニズムを抑制する可能
性があることを報告した。
・ダイオキシン類の受容体である AHR が、オートファジーの誘導に関与することが明ら
かとなった。また、糖尿病治療薬であるメトホルミンが AHR を介してオートファジー
を誘導することが明らかとなった。さらに、ダイオキシン類による酸化ストレスをメ
トホルミンが抑制する機構が明らかとなった。
・AHR の働きを調節して病態を改善する治療用 AHR 調節薬(Therapeutic AHR-Modulating
Agent; TAMA、一般名タピナロフ)による炎症性皮膚疾患の治療(国内第 III 相試験)
を令和 5 年度に完了し、その治療効果を確認した。
112