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資料2-3 本委員会として指定難病の診断基準等のアップデートを検討する疾病(個票、パブリックコメント等を受けて変更等を予定するもの) (71 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75704.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会(第68回 9/1)《厚生労働省》
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86 肺動脈性肺高血圧症
○ 概要
1.概要
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は肺動脈壁に原因不明の細胞増殖性病変が起こる結果、肺血管内腔狭小化、
高度の肺血流障害、そして右心機能不全がに至る招来され、完治が望めない難治性疾患である。PAH は一
つの病気ではなく複数の病型(フェノタイプ)を有しており、病態に応じた治療が必要である。PAH に対する根
治的治療法はなく、適切な治療を受けていても日常生活の負担は継続し長期療養が必要になる。無治療の
場合には極めて予後不良である。乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層に発症し、総じて年齢により病態は異
なる。小児期は性差が無く、成人期では 60 歳代までは女性の割合が多いが、70 歳以降では男女がほぼ同数
になっている。治療の進歩により小児期から成人期へ移行しうる例も出てきており、移行期医療の対象疾患と
なっている。発症頻度は 100 万人に3~4人と稀な疾患である。右心機能不全は全身への酸素運搬能の低下
を招き、労作時に生体で必要とされる酸素量が不足、労作時呼吸困難が生じ常に日常生活に支障を来たす
病態である。日常生活に負担のかかる WHO 肺高血圧症機能分類(WHO-FC)2 でも、労作時は組織低酸素
状態となるため、在宅酸素療法(HOT)が必要となる。HOT を導入してもそこからの離脱は困難であり生涯の
治療継続が必要となる。本症に対する治療として 1990 年以降に作用機序、投与経路の異なる複数の治療薬
が開発され、これらの単剤又は組み合わせにより生命予後は改善してきたが、治療抵抗性の肺血管壁細胞
増殖性変化のためある程度の改善しか望めず、また経年的に薬物療法の効果が減弱、病態悪化してくる
PAH 症例も多い。薬物治療に抵抗性の症例に対しては肺移植を考慮する必要がある。
2.原因
PAH 関連遺伝子のうち、BMPR2 遺伝子変異の頻度が最も高く PAH 患者の約 15%に認められている。それ
以外の遺伝子異常はそれぞれ1~2%とされている。BMPR2 変異保有者が PAH を発症する生涯リスクは約
20%、日本人患者を対象とした浸透率は男性 13%、女性 44%と報告されている。BMPR2 変異による遺伝性 PAH
では、BMPR2 の単塩基置換のみでなく、エキソン欠失・重複といったコピー数多型(CNVs)によって発症する
症例が少なからず存在する。遺伝子異常の検索には遺伝カウンセリングが必須であり診療体制の整備が必
要となる。PAH 関連遺伝子異常が肺血管壁の細胞増殖性変化につながる機序は未解明である。
3.症状
肺高血圧症の自覚症状としては、労作時呼吸困難、易疲労感、動悸、胸痛、失神などがみられる。軽症肺
高血圧症では自覚症状が出現しにくく(診断が困難であり)、症状が出現したときには、既に高度の肺高血圧
症が成立していることが多い。高度肺高血圧症では右心不全病態が進行し、心拍出量は低下、労作時の突
然死の危険性がある。進行例では、頸静脈怒張、肝腫大、下腿浮腫などがみられる。その他、肺高血圧症の
原因となる基礎疾患に伴う様々な身体所見がみられる。

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