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人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営 (62 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20260626/zaiseia20260626.html
出典情報 財政制度等審議会 人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営(6/26)《財務省》
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増加している98。また、中小企業では現預金が積み上がっている。それ
らと表裏一体として、労働分配率は低迷している。
需要不足の状態が解消し、我が国経済は供給制約に直面する段階に移
行しつつあるが、成長投資や危機管理投資による供給力強化と同時に、
こうした分配構造を是正し、実質賃金上昇による継続的な需要拡大を実
現しなければ、真の意味での経済力の強化は望めない。〔資料Ⅱ-2-
24 参照〕
これまで、我が国における過去の国内投資やそれによる労働生産性の
向上は更なる投資を誘発してこなかった。その背景としては、人口減少
に伴う国内市場の成長期待の低下や不確実性の高まりの下で企業がリス
ク回避的な行動を強めてきたことに加え、投資の対象が必ずしも高付加
価値の創出につながる分野に重点化されてこなかった点もあると考えら
れる。
具体的には、1人当たり平均労働生産性の向上が省力化投資による労
働投入量の削減のみによって実現される場合、必ずしも1人当たり賃金
の上昇につながるとは限らない。OECD の調査によれば、我が国の企業
は、主要国の中で、既存事業の生産効率を向上させるプロセスイノベー
ションと比べ、新たな財やサービスを創出するプロダクトイノベーショ
ンの面で、特に後れを取っている99。持続可能な形で投資を喚起してい
くには、企業から見た期待成長率、すなわち市場規模・需要の拡大見通
しを引き上げ、勝ち筋を見つけていく必要がある。ところが、我が国で
は、プロセスイノベーションの一定程度の進展が労働生産性の向上には
つながったものの、市場拡大と新たな需要の創出には十分結びつかなか
ったため、結果として更なる国内投資の機会をも制約してきたと考えら
れる。

98 これまでのコーポレートガバナンス改革では、本来目指すべき中長期的な企業価値向上より

も、企業行動としては短期的な資本効率や株主価値の向上が優先される傾向があった、との意
見があった。
99 プロダクトイノベーションは、新製品・サービスの導入や使用用途等の顕著な改善、プロセス
イノベーションは、新たな生産手法等の実施又は生産手法等の顕著な改善と定義されている。
なお、新製品・サービスの導入が既存製品等を代替する場合には、経済学で経済成長のメカニ
ズムとして提唱される「創造的破壊」の概念にも該当する。
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