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人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営 (33 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20260626/zaiseia20260626.html
出典情報 財政制度等審議会 人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営(6/26)《財務省》
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【コラム】EU 及び EU 各国における財政ルール
EU においては、条約に基づき、財政収支対 GDP 比▲3%以内、債務残高対 GDP
比 60%以下という基本原則が定められている。この枠組みの下で、従来は構造的財
政収支39が予防的措置の運用指標として用いられてきたが、その複雑性や推計の不確
実性を踏まえ、令和6年(2024 年)のルール改正において、各国がよりコントロー
ル可能な指標として、「純支出」40に基づく運営へと見直しが行われた。他方で、こ
の純支出経路の設定に当たっては、債務削減の持続可能性を確保する観点からフロ
ー・ストック両面のセーフガードを満たすことが求められている41。
また、EU 各国の運用を見ると、共通ルールに加えて、国内制度としての規律付け
が重要な役割を果たしている。例えば、ドイツにおいては、構造的財政収支に上限
を課す「債務ブレーキ」が憲法で規定されており、EU ルールを補完する形で財政規
律の実効性が法制上担保されている。オランダにおいては、連立協定に基づく歳出
シーリングの下で、景気変動による歳入の変動を自動的に財政収支に反映させる仕
組みが採用されており、カウンター・シクリカルな財政運営が制度的に担保されて
いる42。
近年では、EU43やドイツ44において、安全保障環境の変化や成長投資の必要性を
背景として、ルールを柔軟化する動きも見られる。こうしたルールの柔軟化自体に
は様々な意見がある45が、その場合においても、適用期間や条件を明確化した上で、
39 構造的財政収支とは、一時的要因を差し引いた、景気循環調整後の財政収支をいう。
40 純支出とは、政府支出から、利払費、裁量的歳入措置(歳入に直接的な影響を与える政策変

更)、EU から資金を受けた支出等、失業給付支出の循環的要素、一時的要因を差し引いたもの
をいう。
41 純支出経路の設定に当たっては、赤字耐性セーフガードと債務持続性セーフガードの2つのセ
ーフガードを満たすことが求められる。赤字耐性セーフガードについては、構造的財政収支対
GDP 比が▲1.5%以内となるまで、構造的プライマリーバランス(利払費を差し引いた構造的
財政収支)を原則年 0.4%pt ずつ改善する必要がある。債務持続性セーフガードは、総債務残高
対 GDP 比について、90%以上の場合は最低でも年平均1%pt ずつ、60%超 90%未満の場合は
最低でも年平均 0.5%pt ずつ削減する必要がある。
42 内閣任期中の財政運営においては、財政目標から逆算して連立協定に規定された歳出シーリン
グを遵守することとされている。経済情勢の変化により歳入見込みが変化しても遵守すること
とされ、好景気下では、歳入が上振れるが追加歳出には充てず財政収支を改善させ、不景気下
では、歳入が下振れるが歳出は削減せず財政収支の悪化を許容することにより、カウンター・
シクリカルな財政運営を自動的に実現できる仕組みとなっている。
43 安全保障環境の変化を踏まえた防衛費増加の喫緊性と、財政の持続可能性とのバランスを重要
視し、期限や上限、承認プロセスを設定した上で「国家免責条項」の適用が認められる。具体
的には、令和7年(2025 年)から令和 10 年(2028)年まで、防衛費の増加について各年の対
GDP 比 1.5%を上限とした、純支出経路からの乖離が認められる。
44 令和7年(2025 年)の債務ブレーキ改正により、国防費等のうち、GDP 比1%を超えた部分
は債務ブレーキの対象外となるほか、インフラ気候特別基金による投資について、債務ブレー
キの対象外で行うことが可能となる。ただし、EU の財政ルールは引き続き適用される。
45 例えば、ドイツの債務ブレーキの改正に関して、国防費等については「防衛とは無関係の分野

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