令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (96 ページ)
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出典情報 | 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》 |
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相談所と医療機関をはじめとする様々な専⾨機関による包括的なアセスメントが重要である。
また、児童相談所には、宗教や国などの育ちの⽂化的背景(社会的背景)に加え、保護者のこだわりやこど
もへの⼼理⾯での影響なども踏まえたアセスメントが求められているといえる。
■こどもの意向の尊重
医療機関調査において、こどもへのインフォームド・アセントについての基本⽅針は「ない」との回答が 59.1%で
あったが、個別のケースでのインフォームド・アセントは、乳幼児やこどもに障がいがある場合等を除き、ほとんどのケ
ースで実施されていた。
こどもが医療の必要性を理解できるように、また説明することで受診拒否にならないように配慮・⼯夫が⾏われ
ており、保護者が同意していなくても、こどもの「医療を受けたい」という希望が確認できれば、児童相談所としては
⼀時保護を決断しやすいとの意⾒があった。⼀⽅で、乳幼児や障がい等の事情により様々なコミュニケーションツー
ル、合理的配慮により、別途適切な⽅法や⽀援を検討・実施した上で、意向をくみ取ることなどが重要となる事
例への対応を実施している状況も伺えた。
また、宗教の信仰等の理由によりこどもが医療を拒否した場合の対応が難しい、医療機関としてもできることが
限られてしまうといった意⾒もあった。
児童相談所においては、こどもの意向確認・意向の尊重の取組みが進められている中で、こども⾃⾝が医療⾏
為を拒否している場合に、こどもに説明を尽くしたうえで、こどもの最善の利益の観点から判断することが必要であ
る。
医療機関調査では、基本⽅針として「受診される⼦どもの権利を定めている」との回答があった。その内容は以
下のとおりであり、こどもへの医療における原則であるべきと考える。
① あなたは、どのようなときでも⼀⼈の⼈間として⼤切にされ、よりよい医療を受けることができます
② あなたは、病気や治療のことについて分かりやすく説明してもらったうえで、あなたの考えや気持ちを家族
や病院の⼈に伝えることができます
③ あなたは、他の⼈にしられたくないことがあれば、病院の⼈に伝えることで秘密にすることができます
④ 学んだり遊んだりしたいという気持ちや、おうちの⼈と⼀緒にいたいという気持ちは、どのようなときでも⼤切
にされます
こどもへの医療を拒否していた保護者が親権停⽌の可能性を⽰唆されることで医療⾏為に同意するということ
は、こどもは⼀⼈の⼈間として尊重されるべき存在であることを保護者が理解した、ということでもある。
こどもの権利について保護者とも共有し、こどもの意向を踏まえて、こどもの将来について⼀緒に考えるケースワー
クが求められている。
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