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令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (81 ページ)

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出典情報 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》
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■医療機関とのつながりをどう維持するかが難しかった


いきなり親⼦の分離を押し進めても、本⼈のためにならず、社会にかかわることがより⼀層困難になると考えら
れたため、何とか外来受診でつなぎ、状況を注視していくことが⽬下の課題であった

<保護者への対応に関すること>
■医療⾏為後の保護者対応に懸念があった







「何が虐待か。マスコミに⾔いますよ」等脅して来られる様⼦があり、保護者の同意なく医療⾏為を⾏うとなる
と、激しい攻撃により、その後の⽀援介⼊にも困難が伴うことが予測される
医療⾯からも養育⾯においても⻑期的にネグレクトの状況にあり発育・発達に影響が出ていると思われるが、
緊急性や重症度としては⾼くないため⼀時保護などの対象にはならず、このままでいいのか、と思いながらその
まま関わりを続けること。保護者の同意なく実施したとすれば、保護者の関係者に対する不信感がさらに強く
なりその後の⽀援介⼊が困難になる
⺟がまばら受診であるため、意向確認に難渋した。保護者の同意なく実施したとすれば、保護者と対⽴する
可能性がある。カルテ上に院内協議内容等、詳細に記載するようにした
保護者の同意なく実施したとすれば、拒否をしている保護者から医療機関への訴訟の可能性や、今後も継
続される治療に対して保護者との信頼関係がなくなる懸念があった
医療者と保護者とが敵対してしまい、⽀援介⼊に対しより頑なに拒否される様相となってしまった。保護者の
同意なく実施したとすれば、親の抵抗感がより強くなり、その後の⽀援介⼊も困難になっていた

■保護者の説得、意思確認の負担が⼤きかった





診療内容や経過が複雑であるため、状況の説明が難しかった
本件の対応により、他の患者の治療など⽇常業務への⽀障が⽣じないようにすることが困難であった
⻑時間繰り返しの⾯談が必要であり医療者の勤務時間の延⻑、精神的苦痛が⽣じた
保護者の説得に時間がかかり、職員が⻑時間拘束された

■保護者から同意を得ることが困難であった










外国⼈の⽣命倫理、死⽣観への対応。院内多職種カンファレンスで複数回の話し合いが必要となり結論を
出すのに時間を要した。外国⼈の保護者の障害児への考え⽅は国によって異なり治療拒否するケースは今
後も増える可能性がある。治療を進めざるを得ない状況では医療機関のリスクが⾼いと感じた
⾔葉・国境・考え⽅の違いが強かった
⺟が外国籍で来⽇歴は⻑く、⽇本語の理解は概ね可能であり⽗⺟の仲も基本的には良好と考えての対応
であったが、微妙なニュアンスが理解できなかった可能性があった。医療に対する⼀般的な⽂化が異なってい
たことも推測される
宗教上の理由の輸⾎拒否であり、治療説明を反復しても保護者の意思が変わる余地がなかった点
助産院での分娩を希望されており医療処置に対して同意が得られづらく、早期の転院を希望されていたため
出産を医療機関で⾏うことを拒否され⾃宅分娩されたが、緊急時の体制を整えること。出産出⽣後の検
診・予防接種の推奨等を⾏ったが、応じなかった
両親の信念が強く、医師・看護師・保健師で必要な治療の説明を⾏ったが、同意を得ることが出来なかった

<こどもの意向に関すること>
■こども本⼈の意向にどう対応するかが悩ましかった


10 代のこどもで、⽩⾎病、宗教上の理由で輸⾎拒否の可能性があった。このような事例が初めてであったた
め、何度も児相や多職種でのカンファレンスを実施し、対応した。本⼈も宗教的思想の影響を強く受けて成
育しているため、輸⾎後に家族として再統合できるのか、本⼈の⼼理的な影響について懸念した。輸⾎時も
ラインを保護して、配慮した。本⼈からの強い拒否が出た場合や突然いなくなる等⼩児病棟は閉鎖ではな
い為不安に感じた。本⼈が持っている携帯電話の取り扱いもどのように対応すべきか悩んだ

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