令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (87 ページ)
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出典情報 | 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》 |
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児童相談所と距離が近いため、来院しているこどもについて、気になるケースがあれば都度児童相談所職員
が病院に来てくれるので密な情報共有ができている。
児童相談所側から、病院に来る前のこどもについてケースの相談が来ることはないが、市から、かかりつけ医で
は対応できないケースの相談が来ることはある。また、かかりつけ医から児童相談所に⼀時保護が必要では
ないかと通告したものの、⼀時保護されなかったケースについて相談が来ることもある。
■児童相談所との連携における課題
緊急時にスムーズに対応するためには児童相談所との速やかな連携が必要なため、管轄の児童相談所と
は年 3 回の定例会議やケース検討を⼀緒に⾏ったりしているが、児童相談所職員の異動によりノウハウ等が
引き継がれていかないという課題がある。児童相談所と医療機関との連携のための取組みが、医療機関任
せになっていると感じることもある。
児童相談所の異動については、専任の所⻑を置く等の経験やノウハウを蓄積していけるような体制としてもら
いたい。また児童⼼理司等の⻑く児童相談所で働く職員に医療機関と⼀緒に対応してもらえるとありがたい。
県内全域からのこどもを受け⼊れているが、連絡する市区町村によって対応が異なることも多い。
養育能⼒が⾜りないケースは多く、明確にネグレクトの意思が⾒える場合よりも対応が難しい。家庭でのケア
が必要となるケースもあるが、「できる」と⾔われると⼼配である。基本的に市や児童相談所に通告しているが、
危機感を共有してもらえない。
⼟⽇・夜間は対応が鈍いが、ケースは⼟⽇・夜間に発⽣することが多い。
通告と⾔わなければ取り合ってもらえなかったり、どの種別の虐待なのか等の判断を求められたりすることがあ
り、通告した側として⼾惑うことがある。虐待種別などは児童相談所で判断すべき内容ではないのか。⾃殺
企図のこどもの場合などは「背景にはネグレクトなどがあるのではないか」といったことまで伝え、児童相談所に
受理してもらいやすいように通告の仕⽅を⼯夫している。
通告後にどのようや対応を⾏うかの⽅針を児童相談所と医療機関で相談し、連携しながら対応する。ただ、
児童相談所の⼈員不⾜により、⼊院中の付き添い等は難しいといわれることもある。
病院とのかかわりがなくなったケースについては、通告後の状況等を児童相談所から情報共有をされることは
あまりないが、児童相談所介⼊後の状況は、医療機関も共有してほしい。
■児童相談所と医療機関の連携のあり⽅、必要なこと
医療と⾏政による福祉はそもそもの役割が異なり、切り分けて考えるべきである。保護者から医療⾏為への
同意を得るために⼀時保護の話をするなど、医療⾏為のための福祉という捉え⽅は望ましくないと考えている。
こどもが医療を受けられない状況には福祉による対応も必要で、児童相談所が適切に介⼊すべき事案であ
る。当然、医療機関から情報提供や対応⽅針についての確認は何度も⾏うが、医療⾏為を⾏うための⼀
時保護委託等を医療機関側から児童相談所にも依頼するというのは、医療が福祉に介⼊していることにな
るのではないか。
こどもが適切な医療を受けられるようにするために、児童相談所と医療機関の双⽅が必要だと思って取り組
んでいることの共有ができるとよい。
6. こどもが必要な医療を受けられるようにするために必要なこと
■直ちに⽣命の危険はないが徐々に症状が悪化するケースへの適切な対応
こどもの⽣命にかかわるケースや、⾝体的な虐待があるケースは児童相談所も⼀時保護の判断がしやすいが、
ネグレクトや、徐々に症状が悪化するようなケースについては基準が明確になっていないからか、⼀時保護と
ならないことがある。うまく養育ができておらず、それによりこどもの⽣命にかかわる可能性がある場合には⼀時
保護を⾏ってもらいたい。
ワクチン拒否などは⽇常的なことで、医療拒否への⼊⼝となっていると感じる。
■事例の共有、相談先
⼀時保護の必要性などの判断がその児童相談所の中だけでされているように思うが、同様のケースへの対
応経験のある児童相談所に相談することも必要ではないか。それができるような児童相談所同⼠の横のつ
ながりがあれば良いと思う。
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