令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (90 ページ)
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出典情報 | 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》 |
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なお、残り6件のうち「⼀時保護等の必要性を調査中」が2件の他、「⼀部の治療は受け⼊れられている」「保健
師の定期訪問に応じている」「保護者が同意できる⽅法で医療を受けられる医療機関に転院した」ケースとなって
いる。
医療機関から通告したケースにおける児童相談所で⾏った⼿続きは、「親権停⽌審判等の請求」が2件、うち
1件を含む「⼀時保護」が4件、⼀時保護等のいずれも⾏わず児童福祉司指導等措置等となったケースが 12
件であった。⼀時保護等とならなかった理由として、医療の緊急性が低かったり、通院はできているなど強制的な
対応が難しい等の理由がある⼀⽅で、「理由についての説明はなかった」との回答も多く、通告後の状況等につい
ての医療機関との情報共有が⼗分になされていない可能性があるケースがあることが確認された。
<保護者の同意>
医療機関調査において、当初保護者が同意しなかったこどもへの医療⾏為を「⾃院で⾏った」との回答は
47.4%(18 件)であり、うち 66.7%(12 件)は「保護者の同意のもとで医療を⾏なった」との回答で、「親
権停⽌や⼀時保護等による児童相談所⻑の同意により医療を⾏った」ケースは5件(⼀時保護を⾏ったうえで
親族の同意を得た等を含む)であった。
また、当初保護者が同意しなかったこどもへの医療⾏為を「⾃院で⾏っていない」と回答のあった 19 件のうち、
「⾄急の医療は不要と判断した」が6件、「保護者が同意をしなかった医療⾏為以外の⽅法で医療を⾏った」が
5件、「他の医療機関に転院」が3件との回答であり、保護者の同意が得られる⽅法で対応していることが確認
された。
<こどもの意向の尊重>
4歳以上のこどものうち7割弱のこどもに対し、医療機関におけるインフォームド・アセントまたは児童相談所に
よるこどもの意向確認が⾏われていた。⾏っていないケースでは、「こどもに障がいがあり意向確認が難しい」「転院
により説明等の時間がなかった」という他、「こども本⼈が保護者の⽀配下にあり説明することが難しかった」という回
答もあった。
こども本⼈が医療⾏為を拒否している場合について、「こどもの意向をどのように尊重するべきかが悩ましい」との
意⾒が児童相談所調査・医療機関調査の両⽅からあげられた。こどもの意向の尊重が⼤切にされている流れの
中で、どう対応すべきか、より難しい判断が求められている状況が伺えた。
II. 医療機関における児童虐待の可能性のあるケースへの対応
■医療機関から児童相談所への通告
令和4・5年度における医療機関から児童相談所への通告件数は、年間約 3,500〜4,000 件であり、うち
約 75%の 3,000 件程度が「虐待」と認定されており、医療機関との連携の中で多くの虐待事案の把握・対応
が⾏えており、医療機関の児童虐待に対する理解と協⼒の重要性が確認された。
医療機関における児童相談所と市区町村への虐待通告件数をみると、ほぼ同数の通告件数であった。どちら
に通告するかの判断基準について、医療機関へのヒアリングで聞いたところ、「⼦ども虐待診療の⼿引きに従う」
「虐待が疑われるものやそれに類するものは児童相談所」の他、「特定妊婦で産後に家庭内養育が難しそうなケ
ースや家庭内事故で重症度が⾼いものは児童相談所」「親⼦分離の緊急性が⾼ければ児童相談所に通告、そ
れ以外は市区町村」「児童相談所や市区町村によって⼒の差があり、それを踏まえてどこに通告するかを決めてい
る」といった回答があった。
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