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令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (86 ページ)

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出典情報 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》
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動ける医療的ケア児の受け⼊れ先がないことが理由で、⼀時保護とならず在宅での⽀援を継続せざるを得
なかったケースもあり、受け⽫の確保も必要である。
緊急性が⾼くなくとも、状態が悪化する可能性のあるこどももいる。そういうケースについてのリスクを認識し、
悪化する前に必要な医療を受けられるようにしたり、もしもの場合にすぐに判断・対応するための準備を⾏う
など、早い段階から必要な対応をとっていく必要がある。
妊娠中にこどもの疾患も判明し親権放棄の意向があったケースでは、出産前に児童相談所と個別⽀援会
議で対応を検討し、出⽣直後に⼀時保護をし、医療を⾏うことができた。妊娠中から家庭での養育が難し
い可能性がある場合には、出産までの間に児童相談所と協議をすることができるため、出⽣後にすぐに対応
できる。
保護者の意向で転院する場合、転院先にどこまでこれまでの状況等を伝えるべきかが悩ましい。転院先の
医療機関が要保護児童対策地域協議会にはいっていれば情報共有がしやすいが、そうでない場合は難し
い。そのような場合、転院後の状況についての確認も難しくなる。

4. こどもへの説明・意向確認、保護者への対応
■インフォームド・アセントの⽅針、⽅法




インフォームド・アセントは、病院内で⽅針を決めて⾏っている。
こどもの年齢や理解に合わせた⽅法で⾏うことが重要であるため、絵を描きながら⾏ったり、わかりやすい例え
を使ったりして⾏うこともある。少なくとも⼩学⽣⾼学年になると 1 対 1 で意向を確認することが可能である。
医師とは別の⽴場でこどもの気持ちを聞く仕組みはあった⽅が良い。

■こどもによる医療⾏為の拒否






こども本⼈が宗教の信仰を理由に医療⾏為を拒否した事例はこれまでにはない。拒⾷症や精神病圏のケー
スなどの場合には保護者もこどもも同意しないことがあり、児童相談所に通告を⾏った。こどもに判断能⼒が
あるかどうかを医療機関で判断することは難しい。
こどもが医療⾏為を拒否したケースは現時点ではないが、ある程度の年齢でこどもが医療⾏為を拒否してい
る場合では、医療機関としてできることがなくなってしまう。こどもの意向なのか、保護者の思想信条が刷り込
まれてしまっているのかの判断は難しい。今後そのような事例があれば、特に⼩学⽣以下の場合は児童相談
所に連絡して対応すると思われる。
こどもが医療を拒否したケースはないが、輸⾎に関しては「15 歳以上は本⼈の意思を尊重する」という⽅針
を病院として持っている。

■こども・保護者への対応の⼯夫





保護者・こども双⽅に医療⾯だけでなく⽣活⾯・⼼理⾯も含めて丁寧に対応するようにしている。
医療⾯以外の困りごとを把握することで、それに応じた保護者に対する⽀援の提⽰やこどもへの説明を⾏え
るようになり、それらすべての⽀援が、最終的にはこどもが医療を受けられる状況につながるという考えである。
これにはかなりの時間と労⼒を必要とするが、⼗分な体制で⾏えているわけではない。また、今後保健師や
看護師が異動してしまった場合に、総合的な⽀援が継続できるかが悩みである。
保護者への対応は、時間外の対応求められる場合も多く、負担も⼤きい。⼩児科は採算が取りにくいという
経営⾯での課題の要因の1つとなっている。

5. 児童相談所等との連携の状況、課題・必要なこと
■児童相談所との連携の状況



県の虐待防⽌ネットワークがある。県全体で年に4回程度会議を⾏っており、児童相談所等との関係性を
築いている。また、個別⽀援会議を通じて個別事例の具体的な情報の共有も⾏っている。
児童相談所と、市のこども家庭センターで 3 か⽉に 1 度、定例会を⾏っている。

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