令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (84 ページ)
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出典情報 | 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》 |
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1. 児童相談所や市町村への通告の判断
■通告先の判断基準
通告等の基準は明確であり、虐待だと判断したものは児童相談所へ、幼稚園・保育園の確認など多⾓的
な情報収集や⾒守りが必要なケースは市町村へ、そこまでの必要性がないものは担当の保健師に連絡する。
児童相談所に通告するか市区町村に連絡するかは、患者の重症度や、社会的なリスクがあるかどうかで判
断している。
■児童相談所への通告の状況
こどもへの医療⾏為について、医師が医学的な説明を、⼩児科の保健師や看護師が保護者の⽴場に寄り
添って意⾒を引き出すようにしているが、それでも保護者の納得が得られず、児童相談所の関わりが必要で
あると判断した場合で、親⼦分離をした⽅がこどもにとって安全である場合は児童相談所に通告する。
児童相談所に通告するケースは、速やかな⼀時保護を必要とする場合が多いので、児童相談所に迅速に
判断してもらいたい。児童相談所がすぐに動けるようにするためには、医師が⼀時保護の必要性を責任をも
って説明できることが必要と考えており、児童相談所がすぐに⼀時保護できるような情報を整えて通告するこ
とを⼼掛けている。
児童相談所への通告にあたっては、病院が通告する理由を⼝頭で伝えると認識のずれが⽣じることがある。
特に、担当者とは合意できていても児童相談所内での共有段階で認識がずれてしまうことがあるため、⽂章
に残すことが必要と感じている。現在は、カルテなどで共有しているが「通告意⾒書」が必要だと思っており、
現在作成中である。
児童相談所に通告したケースとしては、来院時点でこどもの状況や保護者の様⼦から家庭に帰すことが危
険と思われたケースや、保護者が病院からこどもを連れ帰ってしまう可能性があったケース等があった。また、
通院しなくなってしまい、こどもの安全確認が必要だと判断したケースで通告したこともある。
こどもの発達特性などで不安な場合は⼀度乳児院で預かって様⼦を⾒てもらうこともできる等の提案ができ
るよう児童相談所につなぐこともあるが、病院との関係が切れないように注意している。
アトピー性⽪膚炎などは当院でなくても治療はできることから、児童相談所等への通告で医療機関との繋が
りが切れてしまうことはあまり懸念していない。⼀⽅で当院でしか対応が⾏えないような場合には、児童相談
所等が介⼊することで、医療機関との繋がりが切れてしまう可能性があるため慎重に対応している。
児童相談所には、特定妊婦で産後に家庭内の養育が難しそうなケース、家庭内事故で重症度が⾼いもの、
虐待が強く疑われるもの、それに類するものは通告することとしている。⼼肺停⽌などの特に重症なケースは、
事故である可能性が⾼い場合でも、念のため児童相談所に通告している。
■市区町村への通告の状況
就学前のこどもは、保健師による新⽣児訪問や検診によって保護者にとって顔のわかる保健師の⽅が相談
しやすいため、市区町村の保健師につなぐことが多い。
市区町村への通告が増えているのは、患者の社会的なバックグラウンドが脆弱なケースが増えているのが理
由の1つである。児童相談所に通告することで病院とのつながりが切れてしまわないよう、また他機関で⾒守
る体制を取れるよう、まずは担当の保健師に連絡することが多い。
市区町村には、家庭内事故で重症度が⾼くないもの、虐待が強く疑われるわけではないもの等も含めて報
告を⾏っている。家庭内事故については昨年度までは保健師連携が多かったが、今年度からは市への相談
が増えた。特定妊婦については個別⽀援会議を実施している。
■通告判断の院内体制
各現場で気になるこどもについてはすべて CPT に報告することとしており、結果年々件数は増えている。CPT
にて、こども虐待学会のガイドラインに従って、通告をするか、どこに通告をするかを判断している。
CPT には、虐待に類するものだけでなく、法医学に来るもの、家庭内事故、特定妊婦等があがってくる。特
に、特定妊婦の件数が多いが、産前のため、こどもの虐待通告には当たらないという整理になっている。
発育の問題等は CPT ではなく⼩児科で判断する体制になっている。
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