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令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (85 ページ)

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出典情報 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》
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2. 緊急性が⾼く保護者の同意が得られないケースへの対応
■基本的な対応









基本的に保護者からの同意を取るよう尽⼒する⽅針である。親権停⽌を待って医療⾏為を⾏うことも⼀つ
の選択肢ではあるが、時間がかかる。
⼀時保護中であったとしても、基本的には保護者の同意が必要であるとの認識である。児童相談所と医療
機関で連携し、保護者の同意を取れるように尽⼒することが基本的な考え⽅である。
輸⾎拒否で迅速な判断が必要だったケースでは、児童相談所に通告し、児童相談所⻑の同意のもとで治
療(輸⾎)を⾏った。
児童相談所側も対応を経験するうちに慣れていき、迅速な対応が可能になっていると感じる。
特定の医療⾏為を拒否する宗教は有名であるため、院内でも当該ケースに備えた同意書を⽤意しているな
ど、医療機関側も⼀定程度対応の⽅針が明確になってきている。
輸⾎拒否の場合などでは、児童相談所に⼀時保護してもらい医療⾏為を⾏うというシミュレーションはしてい
るが、現時点でそのようなケースはない。
⼿術を必要とするようなケースでは CPT で検討し、必要に応じ児童相談所に通告して⼀時保護等を依頼
するという流れになる。
ハイリスク妊婦については産科とカンファレンスを⾏っており、宗教上の信仰や精神疾患がある妊婦の対応を
あらかじめ検討している。

■同意をとる暇のないケースにおける対応







⾮常に緊急性の⾼い場合は、保護者の同意を取らずに医師・病院の裁量で医療⾏為を⾏ったとしても、の
ちに裁判で負けることはないと認識している。児童相談所に⼀報はしたとしても、いざとなれば医師・病院の
判断で医療⾏為を⾏うということは、児童相談所とも確認している。
救急搬送されてきた場合など、児童相談所に対応を求めている余裕が無い際は、病院の判断にて医療を
⾏う。
医療を⾏った後に、⼀時保護が必要と考えて児童相談所に通告するケースも多い。病院から⼀時保護の
依頼をするわけではないが、児童相談所が⼀時保護をしないという判断をした場合に、病院として必要性を
意⾒することはある。
医療⾏為後の通告は、治療の継続のためというよりも、こどもの安全を担保する⽬的で⾏っている。

■緊急時の対応に関する医療機関への周知


緊急時には医師・病院の判断で医療⾏為を⾏っても、命を守るための治療を⾏うことが優先され、裁判で
負けることはない、というようなことを周知してくれれば医療機関は委縮することなく治療に当たれるのではない
か。皆、確信を持てていないところがある。

3. 緊急性は⾼くないが保護者の同意が得られないケースの対応







予防接種や検診などでスクリーニングできる環境があるためか、0歳児のケースが多い。定期接種は義務で
はないが、もし受けなかったことによりこどもの命にかかわることがあった場合、実際に責任を負うのは保護者で
あるが、医療機関にも責任があるように⾒えることには疑問がある。
乳児の体重増加不良のケースはよくある。すぐに⽣命の危機があるわけではないが、栄養不⾜などが続くこと
で、障がいが残ったり、急変して亡くなってしまう可能性はある。緊急性は⾼くないが、その状況が続くとリスク
が⾼いケースについては、児童相談所にもそのリスクを理解し、必要な法的措置をとる判断をしてもらいたい。
体重増加不良のケースの場合、医療に対する拒否というよりは、付き添いが難しいという理由での⼊院加療
を拒否することも多い。
保護者が⼊院時の付き添いを拒否したケースでは、付き添いが不要の病院への転院とさせたこともある。付
き添いが難しいという理由での⼊院拒否はそれなりにある。
感染症に係わる医療の拒否のケースは、公衆衛⽣の観点からも対応が必要であったため、医師や看護師
から強い⾔葉や熱意をもって対応し、最終的に保護者の同意を得た。輸⾎拒否のケースでも通常の3倍ほ
どの時間をかけて丁寧に説明・説得を⾏い、渋々だが同意を取ることができた。
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