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令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (41 ページ)

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出典情報 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》
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こどもの意向をどのように確認するかは、そのこどもの年齢や障害等の有無により様々。こどもとの対話では、
治療について説得するというよりも、こども本⼈がどう考えているのか聞くことを意識している。
基本的にこども本⼈への意向確認は⾏っているが、医療機関が⾏うことがほとんどである。医療機関からこど
もの意⾒聴取の依頼をされたことはない。
こどもと話をすると、こども本⼈に⾃覚症状があったり、医療が必要ではないかと感じていたりすることも多く、
早く児童相談所や医療機関につなげることが⼤切である。
医療機関においても、こどもの意向を確認するために、あえてこどもが保護者から離れる時間をつくるなど等の
配慮をしてくれる。

■保護者への対応






医療機関と児童相談所が⼀緒に保護者への説明を⾏うことが通常である。医療機関が医療に関する説明
を⾏い、児童相談所が虐待対応を念頭に置いて⼀時保護等の説明を⾏う。
児童相談所が関与し、⼀時保護などを⾏うと、保護者が児童相談所に対⽴する姿勢をとることが多い。⼀
⽅で、粘り強く医療の必要性を説明すると、最終的には同意するケースも多い。
児童相談所としても医療、福祉の両⾯について保護者と話をする。医療機関が保護者に説明した内容を
共有してもらい、児童相談所の⽴場から改めて保護者と対話する。
思想信条による医療ネグレクト事例では、保護者の納得する医療機関を探すなどの対応を児童相談所が
⾏うこともある。
医療⾏為は同意するが児童相談所の介⼊はやめてほしいという保護者が多く、⼀時保護されるならば医療
⾏為・⼊院に同意するということも多い。

■保護者との対話における⼯夫・注意点








保健師として、保護者の思いや不安な点について丁寧に対話することを⼼掛けている。
児童相談所の介⼊に対して保護者の拒否があり対話が難しかったケースでは、こどもを取り上げに来たわけ
ではなく、保護者⾃⾝の困りごとや解決策を⼀緒に改善する⽅法を考えたいということを丁寧に説明して何と
か関係を築いた。
保護者と直接話すことが難しい場合は、書⾯で説明することもある。また、児童相談所が保護者のもとに出
向くこともあり、その場合は、医師や看護師等にも同⾏してもらっている。
保護者の信条を否定するわけではないが、児童相談所としてはこどもの権利のために譲れない部分があるこ
とを伝えている。
親権停⽌の可能性を⽰唆することで保護者の同意を得られる場合もある。
特に、医療的ケア児で、保護者が適切に対応できるのかの判断は、家族全体の状況を⾒て丁寧に⾏わな
ければならない。

4. 児童相談所としての対応に悩むケース










治療をした⽅がこどもにとっては良いが、しないからといって直ちに命に関わるわけではなく、保護者が医師の
説明を拒否するなどして⼿術に同意しない場合、親権停⽌等の措置を取ることが難しく、医療⾏為に踏み
切れないまま年齢が上がってしまう。
保護者が同意しなくてもできる医療⾏為は問題ないが、同意書の必要な検査や⼿術等を必要とする場合
は対応ができずに取り残されやすい。
こどもが⼿術を拒否していても、⼀時保護してでも⼿術が必要と医療機関が判断すれば児童相談所として
は⼀時保護するが、医療機関が医療⾏為をそこまで必要としていない場合は判断しようがない。定期的に
症状等の情報共有を医療機関と⾏うことになる。
重篤な後遺症が残るリスクがあるケースでは、⼿術しなければ命にかかわる場合は⼿術すると考えられるが、
そうでない場合に児童相談所が保護者に代わって判断することは難しい。
医療機関から児童相談所に通告することで医療機関とのつながりが途絶えてしまうリスクはあるとは思うが、
命にかかわる場合はそれでも通告するのではないか。特定妊婦のケースでこのようなリスクは考えられる。逆に、
医療機関内である程度対応できるならば児童相談所に通告しなくても問題はないケースもあると考えられる。
医療⾏為⾃体を完全に拒否するケースは少なく、全体的なネグレクト傾向により保護者と児童相談所の関
係が切れてしまうことで、結果的に必要な医療⾏為への同意が取れなくなる場合もある。
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