令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (95 ページ)
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出典情報 | 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》 |
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ついての理解を深めるためにも、児童相談所と医療機関が⼀緒に学べる機会があることが望ましい。
■精神保健福祉センターや精神保健福祉相談の担当部署との連携
児童相談所調査で、こどもが精神科を受診することへの保護者の拒否感を⽰すケースが、また、医療機関調
査では、保護者の同意を得られない理由として精神疾患の可能性があるケースがあげられた。
こどもの精神科受診に対する保護者の不同意だけでなく、保護者⾃⾝の課題が、こどもへの医療の必要性に
対する理解の妨げとなることもあり、精神保健福祉センターや市区町村の精神保健相談担当部署等の、精神保
健分野との連携も重要であるといえる。
■児童虐待防⽌医療ネットワーク事業の推進
国では、都道府県や政令指定都市にある中核的な医療機関を中⼼として、児童虐待対応のネットワークづく
りや保健医療従事者の教育等を⾏い、児童虐待対応の向上を図ることを⽬的として、平成24年度に「児童
虐待防⽌医療ネットワーク事業」を開始した。
本事業では、①児童虐待専⾨コーディネーターの配置、②児童虐待対応に関する相談への助⾔等、③児童
虐待対応向上のための教育研修、④拠点病院における児童虐待対応の体制の整備 を実施するものである。
しかし、平成5年度のこども家庭庁⼦ども・⼦育て⽀援等推進調査研究事業で実施された調査※によると、必ず
しも⾃治体において活⽤されているとは⾔えない状況である。
しかし、こどもの医療に「保護者の同意が得られないケースに適切に対応していくために必要なこと」として整理し
た様々な取組みは、まさに児童虐待防⽌医療ネットワーク事業に期待されている事業内容である。本調査研究
で児童相談所や医療機関からあげられた医療ネグレクトのようなケースに適切に対応していくための体制づくり⼀
貫として、本事業が多くの⾃治体で実施されていくことが期待される。
※ 株式会社 野村総合研究所
こども家庭庁令和5年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業
「児童虐待防止医療ネットワーク事業及び医療機関における虐待通告等の実施に関する調査研究」
VI. 医療ネグレクトへの対応における課題
■情報リテラシーを育む取組みが必要
本調査研究で医療ネグレクトとしてあげられた事例には、医師の説明よりも、インターネットからの誤った情報を
信じてしまうことでの医療拒否のケースが多く含まれていた。
正しい情報をいかに発信するかの⼯夫が必要であるとともに、情報リテラシーを育む取組みの必要性が改めて
確認された。
■緊急性を要さないこどもへの医療⾏為が⾏えない課題
今回の調査対象のような「医療⾏為を⾏わないことがこどもの⽣命・⾝体に重⼤な影響がある」と考えられる緊
急性が⾼いケースでは、緊急性を要する対応として保護者の同意なくとも医療機関で治療をしたり、保護者も同
意しやすい(せざるを得ない)ことも多く、結果的にこどもが医療を受けることができるケースが多い⼀⽅で、すぐに
⽣命に危機にはならない、緊急性を要さないこどもへの医療は、児童相談所も医療機関も踏み切れず、こどもの
年齢だけがどんどん⾼くなり、結果的にこどもの利益が損なわれているのではないか、という課題もあげられた。
その状態が続くことで急変や障がいが⽣じる可能性があり、早期の対応の必要性もあげられた。医療⾏為が⾏
えない状況が続くことでの急変や障がいが⽣じる可能性等のこどものリスクを確認し、悪化する前に必要な医療を
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