よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (92 ページ)

公開元URL
出典情報 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

刑法 37 条 ⾃⼰⼜は他⼈の⽣命、⾝体、⾃由⼜は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずに
した⾏為は、これによって⽣じた 害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しな
い。ただし、その程度を超えた⾏為は、情状により、その刑を減軽し、⼜は免除することができる。
⺠法第 698 条 管理者[義務なく他⼈のために事務の管理を始めた者] は、本⼈の⾝体、名誉⼜は財
産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意⼜は重⼤な過失があるの
でなければ、これによって⽣じた損害を賠償する責任を負わない。
他⽅で、⼀部の医療機関からは、保護者が同意していないこどもへの医療について医療機関がどこまで責任を
持つべきか(持てるのか)といった、課題もあげられた。
なお、宗教の信仰上の理由や精神疾患がある妊婦への対応や、輸⾎拒否があった場合の対応など、緊急時
の対応が必要となる可能性のあるものについては、カンファレンスでの検討やシミュレーションを⾏う等の準備を⾏っ
ているとの回答もあった。
医療機関の対応の⽅針や医療機関が⾏っている対応についてのシミュレーション等について、児童相談所も理
解しておくことが重要である。

IV. 保護者の同意が得られないケースにおける児童相談所の役割と課題
■医療機関が児童相談所に通告する理由や期待する役割
こどもへの医療⾏為について保護者の同意が得られない場合において、児童相談所が担うべきと考えている役
割と、医療機関が児童相談所に期待することについて⽐較すると、児童相談所と医療機関ともに、「⼀時保護や
親権停⽌等の対応を⾏う可能性があることについての保護者への説明」と「⼀時保護または措置等による医療⾏
為後のこどもの安全の確保」についていずれも回答率が⾼い。
⼀⽅で、医療機関が期待していることとして「こどもが継続的に医療を受けられるようにするための⼀時保護また
は措置等の実施」は医療機関の⽅が回答率が⾼く、また、「迅速な⼀時保護や親権停⽌審判の申請等の⼿続
き」は児童相談所の回答率と⽐べて低い結果となっており、医療⾏為を⾏うためというよりも、医療⾏為を⾏った
後のこどもの安全や継続的な医療を受けられるようにすることを⽬的とした⼀時保護等が必要とされていると考えら
れる。緊急性が⾼く医療機関の判断で医療⾏為を⾏うと同時に児童相談所に通告する場合もあるが、その理由
は、そのような状況に⾄った要因に虐待等の不適切な養育またはその疑いが推察されたり、その結果こどもが継続
的な医療を受けられなくなるおそれがあるなど、医療⾏為後のこどもの安全を守る「虐待対応」を求めるものである、
との回答であった。
また、「⼀時保護や親権停⽌等の対応を⾏う可能性があることについての保護者への説明」については、児童
相談所が説明すべき内容であり、回答率が⾼いのは当然であるが、保護者が医療⾏為に同意しようと決断する
1つの要因に、「⾃分が反対していても⼀時保護をされてしまうという可能性が提⽰されること」という意⾒が医療
機関からあげられていることも回答率が⾼い要因の1つと推察される。通告を受けた児童相談所が、⼀時保護等
の⼿続きを進めつつ、並⾏してこどもの⽣命を守るために児童相談所としてどのような⼿続きで進めていくのかを保
護者に丁寧に説明することが、結果的に保護者の同意につながっている可能性がある。
■児童相談所が医療⾏為の必要性を判断することは難しい
こどもに必要な医療について保護者の同意が得られないことを理由に、児童相談所⻑権限での同意を⽬的と
した⼀時保護等を求められた場合、児童相談所からは、「こどもへの医療⾏為の必要性を児童相談所が主体的
に判断できる体制にない」といった課題があげられた。
90