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令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (40 ページ)

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出典情報 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》
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⼀時保護・親権停⽌は、最終⼿段として説明することはあるが、できるだけ⼀時保護や親権停⽌をしないで
対応するようにしている。ただ、⼀時保護、親権停⽌をする場合であっても、保護者と相談しながら段階的に
進めていくことになるため医療機関から通告があったからすぐに⾏うというわけではない。
⼀時保護が必要かどうかはこどもの意向や家庭の状況を調査して児童相談所として判断する。
家庭での養育に課題がある場合、⼀時保護したからといって改善するわけではないことが多い。医療⾏為後
の⽣活も含めて、どのようにしていくのがよいか、家庭の状況やこどもの意向を踏まえて⼀緒に考えていく必要
があり、時間がかかってしまうが、こどもにとっての最善策を考えることが必要である。
⽇頃から連携がとれている医療機関からの通告の場合は、通告内容の信頼度が⾼いため、⼀時保護とす
るかの判断がしやすい。
輸⾎拒否等で緊急性の⾼いケースで、医療機関から命にかかわるという話があれば⼀時保護をすると思うが、
現時点では具体的なケースがなく、状況を踏まえて判断する必要があるため、迷わずすぐに⼀時保護を⾏う
とは断⾔はできない。
親権停⽌を実施したことはないが、想定されたケースはある。
親権停⽌を必要とする場合は、医師の意⾒書や、医師から保護者への説明の内容、保護者が医療⾏為
を拒否する理由など、必要な情報を医療機関でまとめてもらえると迅速に対応できる。

■⼀時保護の⽬的




調査のために⼀時保護をすることが多い。
⼀時保護を⾏った事例もあったが、児童相談所⻑同意で医療⾏為を⾏う⽬的の⼀時保護はあまりない。
⼀時保護をして監護権がある状態でも、医療⾏為(⼿術)への同意まではできない。親権停⽌が必要と
考えており、保護者が⼀時保護には同意していても⼿術には同意しない状況だったケースでは親権停⽌の
⼿続きを取った。児童相談所として、⼀時保護の⽬的は医療⾏為への同意ではないという認識でいる。

■多職種連携での対応





医療ネグレクト事例においては、様々な専⾨的な知⾒が必要とされるため、多職種連携(児童福祉司や
児童⼼理司、SV、保健師、弁護⼠など)のチームアプローチで対応することを意識している。考えの異なる
保護者に対して、医療の必要性の説明・説得をすることや、医療機関等から様々な要望を受けて対応する
のは担当職員に負担が⼤きいことから、複数⼈でチームを組んで対応することが重要であると考えている。
担当ケースワーカーと保健師などの医療職が対応することで、福祉⾯と医療⾯の専⾨性を担保している。
嘱託弁護⼠との相談を⾏い、児童相談所の対応に法的な問題がないか相談している。

■セカンドオピニオン




セカンドオピニオンは必要に応じて⾏っている。通告元の医療機関が治療⽅針を判断できない場合に、より
専⾨的な医療機関に意⾒を求めることもある。
医師によって意⾒が分かれることがあった際に別の専⾨医に話を聞いたことがあるが、そうでない場合に児童
相談所としてセカンドオピニオンをとる必要はないと考えている。
医療の必要性については通告元の医療機関の判断に基づいて対応をしているため、セカンドオピニオンを求
めたことはない。(こどもが怪我をしたタイミングが曖昧で、虐待に該当するかの判断に関わる場合にはセカン
ドオピニオンを求めることはある。)

■夜間・休⽇対応


夜間や休⽇の対応は時間がかかる。しかし、救急で運ばれた場合でも、医師が診てから通告されることが多
いため、実際に通告があるのは診療時間内であることが多い。

3. こどもへの説明・意向確認、保護者への対応
■こどもへの説明・意向の確認


こどもに対しては、医療⾏為が必要な理由や、医療⾏為を受けなければ命に関わるなどの点を丁寧に説明
し、こども⾃⾝にも納得して医療を受けてもらうことが重要である。

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