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令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (36 ページ)

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出典情報 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》
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(4) Q10-3.児童相談所での確認の際に留意したこと
こどもの意向を児童相談所で確認した場合、こどもの意向を確認する際に留意したことについて聞いたところ、
以下の回答があった。




職権での⼀時保護を伴うものであり、本児にとっては家族と離れての治療を受けることになる状況に対し、そ
の必要性について絵本等のツールも⽤いながら年齢等にも配慮しつつ、繰り返し実施した
知的障がいや場⾯緘黙の症状があったため、関係のできている職員から個別に確認を⾏った
本⼈の意⾒を尊重し、否定しない

(5) Q12 本事例の対応に苦慮した点やその理由等
本事例への対応において苦慮した点やその理由等を聞いたところ、以下の回答があった。
<児童相談所としての対応の判断に関すること>
■医療⾏為の必要性を判断すること











専⾨医等からの助⾔を得るまでに⼀定の時間を要したが、治療について早急な判断を病院側から要求され
た点
保護者が全⾯的に医療⾏為を拒否している状況ではない中、親権停⽌の必要性の判断が難しかった。ま
た、仮に親権停⽌が承認された場合、実際に医療⾏為を受けてもらうための対応⽅法の検討が別途必要
と考えられる
喘息という疾患が曖昧で、緊急性の判断が難しい
ほぼ標準医療として実施されている投薬であったが、医師によって予防医療と同等であるとの考えもあり、必
要性の判断に苦慮した
保護者が医療⾏為を拒否する理由の背景に、障害受容の課題や実際に引き取って養育することの不安、
⺟⾃⾝の過去の傷つき体験があることが推察され、単純に思想信条による拒否とは⾔い切れなかったことか
ら、保護者への告知等、介⼊⽅法やその強度について判断が難しかった
⼿術の緊急性が不明瞭(チューブへの影響で半年〜1 年以内に気管切開が必要になるなど)
重⼼状態の児童への⽣存を左右する⼿術に同意しないことがネグレクトとまで⾔えるのか。親は⼿術で寿命
が延びることが本児の苦痛・苦しみになると考えていた
難しい治療のため⾏える病院(医師)が限られていた。その点も標準的な医療と⾔えるのか、⾊々な意⾒
があった

■児童相談所としての対応⽅針を判断すること





親権者と病院が対⽴しており、かつ児童相談所として介⼊を要請される状況でもないため、児童相談所とし
てはできることに限りがある点
保護者が医療⾏為に⼀旦同意されても、すぐに同意を翻すなど意向が定まらないことや、その医療⾏為が
⾏われなかった際のこどもに重⼤な影響が考えられるものの、際⽴った緊急性がない状況もあり、児童相談
所として都度対応を判断していく上で、⽅針が定まりにくく苦労した。また、医療⾏為を全く放棄しているわけ
ではなかった点(医療機関への受診について、こどもを受診させてはいないが薬の処⽅だけもらい、保護者
等が⾏っていた)、漢⽅を重複した治療を⾏っていることは保護者の⾔動から明らかであったが、⻄洋医学
を全く拒否していない点がネグレクトにあたるのか、所内でも意⾒が分かれた
全体としては、⻑期にわたる治療を要する疾患であったことによる困難が⼤きかった

<保護者への対応に関すること>
■思想信条による保護者の考えを説得すること



服薬の必要性について、くり返し保護者に説明しているが、特定の⾷品が効果的であるとくり返し主張して
話がすすまない点
保護者に治療の意思がない訳ではなく、選択したい治療法では命が守られない可能性が⾼いことが保護者
の信条の強さで中々理解してもらえなかった。信条を否定せず、そのことを伝えていくことに苦慮した
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