令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (89 ページ)
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出典情報 | 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》 |
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I. 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する事例について
<事例の概要>
令和4年4⽉1⽇〜令和6年9⽉末までにおける「保護者の思想信条等により医療機関が提⽰したこども
への医療⾏為に対して保護者の同意が得られなかったケースのうち、その医療⾏為を⾏わないことがこどもの⽣命・
⾝体に重⼤な影響があると考えられた事例」や「同意しない理由が保護者の思想信条等に起因するかの判断は
悩ましかったがその可能性があると考えられた事例」について、児童相談所 188 か所のうち、「あった」との回答は
22 か所(11.7%)で計 28 件、医療機関 88 か所のうち、「あった」との回答は 24 か所(27.3%)で計 40
件(うち、個別事例についての回答があったのは 38 件)であった。
該当事例の年齢は、児童相談所・医療機関ともに、1歳未満が最も多く約半数であった。その理由としては、
乳幼児健診やワクチン接種等の機会があり、保健所や医療機関において保護者が同意しないケースが確認しや
すいことがあると推察される。
保護者が同意しなかった医療⾏為の内容は、化学療法や特定の薬物、ワクチン接種やステロイドの拒否、気
管切開や輸⾎等の医療⾏為の拒否、また医療機関の受診や⼊院を拒否するケースがあげられた。また、不適切
な⾷事や制限等の改善を拒否するケースもあった。該当事例における医療の必要性、緊急性は様々であるが、
医療機関調査では最終的に「⾄急の医療は不要と判断した」ケースは、38 件中わずか6件に過ぎず、現場では
難しい判断や対応を迫られている状況が伺えた。
なお、保護者がこどもへの医療⾏為を拒否する理由としては、宗教の信仰を理由とするものの他、⺠間療法を
はじめ、医療機関から提案があった医療以外での対応を希望していたり、医療への不信感、こどもに負担をかけた
くない等、様々な理由があった。
<該当事例に関する児童相談所への通告>
児童相談所における該当事例のうち 75%(21 件)は医療機関からの通告であり、市区町村からの通告が
4件であった。
⼀⽅、医療機関からあげられた 38 件のうち、児童相談所に「通告した」のは 55.3%(21 件)と約半数であ
った。通告していない理由としては、「⾄急の医療は不要と判断した」「こどもへの医療について保護者の同意が得
られた」との回答の他、「児童相談所ではなく、市区町村に連絡した」「すでに児童相談所や市区町村に連絡済
み・介⼊しているケースのため」などの回答もあった。また、「他の医療機関に転院したり、最低限の治療には同意
を得られている」といった理由もあった。
医療機関が児童相談所に通告する際の情報提供の⽅法としては、「電話」が 85.7%(18 件)と最も多か
ったが、次いで「対⾯協議」が 42.9%(9件)であった。医療機関へのヒアリングにおいても、「第⼀報は電話で
するが、その後児童相談所職員に直接あって説明している」との回答もあり、情報提供だけでなく対応についての
協議等もあわせて実施しているという状況が確認された。
<通告のあったケースにおける児童相談所としての対応>
通告を受けて児童相談所が⾏った⼿続きとして、児童相談所調査では、28 件中、「⼀時保護」を⾏ったケー
スが9件あり、うち1件は「親権停⽌審判の請求」「保全処分の申⽴て」も⾏ったケースであった。
⼀時保護等のいずれも⾏わず児童福祉司指導等措置等としたケース 19 件について、⼀時保護等を⾏わな
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