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令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (91 ページ)

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出典情報 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》
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市区町村に通告している理由としては、「市区町村には担当の保健師がいるため、その後のサポート体制を含
めて相談しやすい」「保育所や学校等からの情報収集等の連携が必要なケースについては市区町村のこども家庭
センター等、その必要がなければ担当保健師に連絡」などの回答があった。
医療機関へのヒアリングでは「児童相談所に通告することで、保護者が医療機関から離れてしまう可能性があ
る」といった意⾒もあり、医療⾏為の緊急性やこどもと保護者の関係性、通告先の⽀援体制等の視点で、どこにつ
なぐのが最適かについて、医療機関側で丁寧かつ慎重に判断・対応されている状況が確認された。
■医療機関内における CPT
令和5年度のこども家庭庁⼦ども⼦育て推進等調査研究事業「保護者による宗教の信仰等に起因する児
童虐待に関する調査研究」で実施された医療機関へのアンケート調査では、回答のあった 138 か所の救命救急
センターを設置する医療機関のうち 93.5%(129 か所)の医療機関において院内に CPT が設置されていると
の回答があった。
本調査研究における医療機関へのアンケート調査では、令和5年度に CPT にあげられた件数が0〜1,033
件、平均 68.4 件、中央値 18 件となっており、医療機関によって CPT にあげられる件数に⼤きな差がみられ、そ
の理由は、CPT にあげる対象が医療機関によって異なるためであることが医療機関へのヒアリングで確認された。
本調査研究で対象としたのは、救命救急センターを設置する医療機関であり、⽐較的、虐待対応のノウハウを
有する医療機関であるが、それ以外の医療機関における虐待対応への理解や協⼒を得やすくするための取組み
の必要性についての課題もあげられた。

III. 医療機関における保護者の同意が得られないこどもの医療への対応
■保護者が医療⾏為に同意しない場合も、医療機関は「保護者への説明・説得に努め、理解を得る」が基本⽅針
当初は保護者の同意が得られなかった場合でも、保護者の同意のもとで医療を⾏うケースが多かったが、医療
機関へのヒアリングでは、全ての医療機関から「保護者に医療の必要性を説明し、理解を得る」という対応を基本
としているとの回答があった。
その理由として、「保護者に納得が得られていない状況で医療を⾏うことで、保護者の抵抗感がより強くなり、そ
の後の医療機関とのつながりや⽀援が困難になる可能性がある」との意⾒が多くあげられており、⼀時保護等によ
り医療を⾏うことに対する様々な影響や可能性を複合的に考慮することが求められ、慎重な対応が必要であるこ
とが確認された。
そのため、このようなケースでは保護者に対する慎重かつ丁寧な対応が求められ、通常のケースと⽐べて保護者
対応に要する時間と労⼒が⾮常に⼤きいという課題が、医療機関からあげられた。
■医療機関は、保護者への説明や同意が出来なくても、緊急時には適切と判断される医療⾏為を直ちに⾏う医療
機関が⾒受けられた
医療機関へのヒアリングにおいて、「救急搬送されてきた場合など、児童相談所に対応を求めている余裕が無
い際は、病院の判断にて医療を⾏う」ということが確認された。
⼀部の医療機関においては、緊急性の⾼い医療について、「正当⾏為(刑法 35 条)」「緊急避難(刑法
37 条)」「緊急事務管理(⺠法 698 条)」で法的責任が整理可能であり、「緊急時については保護者の同
意を取らずに、医師・病院の裁量で医療⾏為を⾏うことができると認識」しており、そのように対応することについて、
児童相談所とも確認しているとの回答があった。
刑法 35 条 法令⼜は正当な業務による⾏為は、罰しない。
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