令和7年3月 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究 報告書 (93 ページ)
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出典情報 | 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトへの対応について(8/7)《こども家庭庁》 |
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では判断が難しいため、セカンドオピニオンや弁護⼠等に相談しているといった回答も多くあったが、⼀⽅でそれが故
に時間を要するという意⾒もあった。
■チーム・組織として対応することが⼤切
こどもに必要な医療⾏為に同意しない保護者に対するケースでは、慎重かつ丁寧な対応が必要となるのは、児
童相談所でも同様である。対応する職員は、時間的にも、体⼒・精神⼒的にも疲弊する現状があり、⼀⼈で抱
え込まなくてもよいように、「チーム」「組織」として対応することが重要である。
V. 保護者の同意が得られないケースに適切に対応していくために必要なこと
■児童相談所と医療機関が担う専⾨領域・役割の共通理解が重要
児童相談所と医療機関のアンケート調査から、各々の担う役割や専⾨領域の違い、その課題もあげられた。
こどもの⽣命を守るために、迅速な対応が求められるという点では共通しているものの、医療機関調査における
保護者が医療⾏為に同意しなかった以降に⾏った⼿続きのうち「想定以上に時間がかかった事項」の回答をみる
と、「緊急」という⾔葉の具体的な時間としては違いがあると推察される。
また、児童相談所の「⼀時保護や親権停⽌等の判断において最低限必要な情報」と、医療機関の「児童相
談所への通告において医療機関から提供した情報」をみると、児童相談所は医療⾏為に関する事項以外につい
ての情報も必要としていることが確認された。医療機関は医療の必要性を説明するため情報提供をしている⼀⽅、
児童相談所は虐待かどうかを判断する必要があることがその理由の1つとして考えられる。
児童相談所からは、職権による⼀時保護を⾏う権限はある⼀⽅、基本は親権者から同意を得て⼀時保護を
⾏うものなどの児童相談所の役割や専⾨性等の権限とその限界に対する理解を求める意⾒も多くあげられている。
児童相談所と医療機関の各々ができることとできないことについての相互理解が必要である。
児童相談所が⾏うのは「虐待にあたるかどうか」の判断であること、そして児童相談所が⼀時保護等の必要性
を判断する視点、その判断に必要な情報、⼿続きに要する期間等を医療機関と共有しておくことで、医療機関が
児童相談所に通告するか否かや、情報提供の内容などの判断がしやすくなる可能性がある。
■児童相談所の相談先となる医療機関との関係性の構築
医療機関からの通告ケースについて、「⽇頃から連携がとれている医療機関からの通告の場合は、児童相談所
の判断に必要な情報が通告時点で多く、医療の必要性についても通告元の医療機関の判断に基づいて対応し
ている」との意⾒があった。
前述の通り、「児童相談所としての医療⾏為の必要性を判断することは難しい」という現状がある中で、このよう
な信頼できる医療機関があることは、他の医療機関からの通告ケースの相談先(セカンドオピニオン先)にもなり
得る。
医療機関側は、通告先となる児童相談所や市区町村の窓⼝が明確であることと同様に、児童相談所が医療
に関する相談ができる先をもつことは重要であり、地域の基幹病院との関係構築が求められる。
なお、こどもが必要な医療を受けられるようにするためには、児童相談所と医療機関との間での顔の⾒える関係
づくりが重要であり、医療機関調査では「児童相談所と⽇頃から顔の⾒える関係づくりに取り組んでいる」との回答
が 59.1%であり、「定期的な会議を開催」「ケース検討会議を実施」、またケース対応で児童相談所職員がよく
医療機関に来るので顔を合わせているなどの例があった。
しかし、医療機関からは、「児童相談所職員の異動」「担当者によって対応が異なる」など、ノウハウや関係性
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