資料1-2 指定難病に係る新規の疾病追加(令和10年度適用分)について研究班から情報提供のあった疾病(個票)(第68回指定難病検討委員会において検討する疾病) (73 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75704.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会(第68回 9/1)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
○ 概要
1.概要
QT 延長症候群(LQTS:Long QT Syndrome)は、心電図上 QT 時間が延長することによって、Torsades de
Pointes(TdP)と呼ばれる多形性心室頻拍、心室細動(VF:Ventricular Fibrillation)が誘発され、心臓突然死
の原因となる遺伝性不整脈である。小児期から成人期まで幅広い年齢にて発症する。約 7 割に原因遺伝
子が同定されるが、特に有症状やハイリスク例では生涯治療継続が必要である。
2.原因
約7割に心筋のイオンチャネルやその関連蛋白の遺伝子異常を認め、そのほとんどがカリウムチャネル
に関連する KCNQ1、KCNH2 遺伝子の機能低下型バリアント、及びナトリウムチャネルに関連する SCN5A
遺伝子の機能獲得型バリアントによって、心筋細胞の活動電位が延長し、早期後脱分極から致死性不整
脈(TdP や VF)を生じる。
先天性LQTSは遺伝形式から常染色体顕性(優性)遺伝形式のRomano-Ward症候群(RWS)と、先天性聾
を伴い常染色体潜性(劣性)遺伝形式のJarvell and Lange-Nielsen症候群(JLNS)に分けられるが、先天性
LQTSの多くはRWSである。先天性LQTSと臨床診断される患者の7~8割に原因遺伝子が同定され、そのほ
とんど(90%)がKCNQ1 (LQT1)、KCNH2 (LQT2)、SCN5A (LQT3)である。また上記3遺伝子に加えて
CALM1~3が先天性LQTSの原因遺伝子として重要である(表1)。さらにTRDNはホモ接合体の場合に原因
の可能性があり、KCNQ1、KCNE1はJLNS、KCNE1、KCNE2は後天性LQTSの原因と考えられる。CACNA1C
の一部のバリアント(G406RやG402Sなど)はTimothy症候群(TS)、KCNJ2はAndersen-Tawil症候群(ATS)の
原因として重要である。CACNA1Cのその他の病的バリアントも非TS型LQTSの原因となるが、エビデンス的
にはやや劣る。
先天性LQTSの浸透率は100%ではなく、病的バリアントを有するが心電図上QT延長を生じない例もある。
また同じ遺伝子でもバリアント毎にQT延長の程度や症状の有無などが異なる。遺伝型でイオンチャネルの
機能異常は異なり、心筋カリウムチャネルの遺伝子であるKCNQ1、KCNH2、KCNJ2では機能低下・喪失型、
心筋ナトリウムチャネルの遺伝子であるSCN5AやCaチャネルの遺伝子であるCACNA1Cでは機能獲得型の
バリアントが原因である(表1)。SCN5Aでは、機能獲得型バリアントの表現型はLQTSだが、機能低下・喪失
の場合はBrugada症候群や洞不全症候群、進行性心臓伝導障害などになる。さらにSCN5A-E1784Kのよう
に機能獲得型と喪失型の両方の特徴を持つバリアントがあり、同一家系内でも表現型がLQTSとBrugada症
候群や伝導障害等が混在することもある。
先天性LQTSの病的バリアントのタイプはミスセンス、ナンセンスやフレームシフトなど多彩である。必ずし
もバリアントの種類は疾患の重症度に関連しないが一部のバリアント(KCNQ1-A341Vや、SCN5A-V411Mな
ど)では重症化リスクが高いことが知られている。最近の知見からは、遺伝型やバリアントの種類によってリ
スク層別化も可能になりつつある。
3.症状
71