資料1-2 指定難病に係る新規の疾病追加(令和10年度適用分)について研究班から情報提供のあった疾病(個票)(第68回指定難病検討委員会において検討する疾病) (3 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75704.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会(第68回 9/1)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
ADSS1 ミオパチーは、ADSS1 遺伝子がコードする、アデノシン三リン酸(ATP:Adenosine Triphosphate)
de novo 合成経路の筋肉特異的アデニロコハク酸合成酵素の機能異常による ATP 供給障害を原因とする
常染色体潜性筋疾患である。当初は ADSSL1 ミオパチーと呼ばれたが、遺伝子名が ADSSL1 から ADSS1
に変更されたことから、ADSS1 ミオパチーと呼ばれるようになっている。本疾患は当初 2016 年に韓国より
遠位型ミオパチーとして報告されたが、2020 年に報告された日本人 63 名の本疾患患者では、遠位型と言
える例は 1/3 に留まり、むしろ近位筋や、舌、咬筋、横隔膜、傍脊柱筋など広範な筋に症状を認めた。本疾
患は、ATP 供給障害による筋の易疲労性など代謝性疾患としての側面を有する一方で、進行性の筋力低
下・筋萎縮を来すいわゆるミオパチーとしての特徴もある。また病理学的にはネマリン小体が出現するなど
先天性ミオパチー的な所見も呈する。従って、遠位型ミオパチー、代謝性ミオパチー、先天性ミオパチーな
ど多彩な疾患カテゴリーに分類されてしまう可能性があり注意が必要である。
2.原因
ADSS1 ミオパチーは、ADSS1 遺伝子の両アレル性変異による常染色体潜性筋疾患である。ADSS1 遺伝
子は、ATP de novo 合成経路の中でアデニルサクシネート合成の初期反応としてイノシン一リン酸からアデ
ニロコハク酸への転換を触媒する、アデニロコハク酸合成酵素の筋肉特異的アイソザイムをコードしている。
本酵素は、運動などによる骨格筋の急激なエネルギー需要の高まりに対する大量のアデニンヌクレオチド
供給を担うと考えられており、ADSS1 ミオパチーにおける筋の易疲労性はこの ATP 産生の障害に起因す
るものと考えられる。
7 家系 9 名の韓国人患者、59 家系 63 名の日本人患者で共通する創始者変異として ADSS1(NM_152328)
の c.781G>A と c.919delA を複合ヘテロ接合体で認めており、全例の少なくとも一つのアレルでこれらのバ
リアントを有する(韓国の論文では上記バリアントを、c.910G>A と c.1048delA として別表記(NM_199165)さ
れている。)。
3.症状
1)骨格筋の易疲労性とそれに伴う急激な運動困難
日本人 63 名の調査では、乳幼児期の運動発達は正常に経過しているが、小児期より筋の易疲労性が
認められる。特に、咬筋の易疲労性から食事の際に顎が疲れると訴えることもある。小児期時点では日常
生活動作に問題がないが、短距離走、縄跳び、跳び箱での跳躍、鉄棒、球技などの運動が著しく苦手であ
る。特筆すべきは徒競走では極端に走るのが遅く常に最下位であるが、軽いジョギングや水泳など、瞬間
的なエネルギー消費量の高くない持続的運動はしばしば可能であることから、当初は筋疾患の存在に気付
かれないことが多い。
2)進行性の筋力低下・筋萎縮
最初に筋力低下を訴えるのは平均 24.6±11.4 歳で、多くが下肢の筋力低下を示し、階段昇降や立ち上
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