資料1-2 指定難病に係る新規の疾病追加(令和10年度適用分)について研究班から情報提供のあった疾病(個票)(第68回指定難病検討委員会において検討する疾病) (53 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75704.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会(第68回 9/1)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
VEXAS 症候群(vacuoles、E1 enzyme、X-linked、autoinflammatory、somatic syndrome)は成人後期に発
症する治療抵抗性の自己炎症症候群である。高熱、皮疹、軟骨炎、肺病変、関節炎などの多彩な全身性
炎症症状を呈し、しばしば血球減少や骨髄異形成などの造血障害を伴う。本症は 2020 年に初めて報告さ
れたが、その後の研究により原因遺伝子、特徴的な臨床像及び病理学的所見が明らかとなり、独立した疾
患概念として国際的に確立されている。
2.原因
骨髄の造血系前駆細胞における UBA1 の後天性体細胞変異(モザイクで存在する)が関連している。
UBA1 はタンパク質のユビキチン化を開始させる E1 酵素をコードしている。現在明らかにされている症例の
多くでは、UBA1 exon3 の選択的転写開始点であるメチオニン(Met)41 番あるいはその上流のスプライスサ
イトに変異が生じており、これにより機能低下型の新規アイソフォームが出現する。病的変異を有する末梢
血細胞では、ユビキチン化の低下と自然免疫経路の活性化が認められる。
UBA1 は X 染色体上に位置するため、発症するのはほとんどが男性である。女性では野生型アレルが保
護的に働くと推測されており、後天性モノソミーX を保有する患者に報告されている。
なお、UBA1 の生殖細胞系列の変異は脊髄性筋萎縮症と関連することが報告されているが、VEXAS 症
候群の変異とは異なる。
3.症状
多彩な全身性炎症症状を認めるが、初発時から複数の症状を認めることも、経時的に症状が追加される
こともある。皮膚や肺の好中球性炎症、耳介あるいは鼻軟骨炎、眼炎症、血管炎などが多い。
また、様々な血液異常も知られており、大球性貧血、血小板減少、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫や
意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症などの合併が見られる。骨髄塗抹標本では、骨髄系前駆細
胞と赤芽球系前駆細胞の細胞質に特徴的な多発空胞像(vacuoles)を認めるが、VEXAS 症候群診断にお
いて特異度が高い所見ではない。銅欠乏、亜鉛中毒、アルコール乱用、薬剤性などでも出現しうる。
4.治療法
現時点で、VEXAS 症候群に対する治療法は確立されていない。グルココルチコイドは、治療初期には自
己炎症症状に対して有効性を示すが、漸減中の再燃はほぼ不可避で、長期にわたって中等量以上の内服
継続を要することが多い。大概は経過とともにグルココルチコイドへの治療反応性は低下し、JAK 阻害剤や
抗 IL-6 受容体抗体などの生物学的製剤、メチル化阻害剤を併用するなどの治療強化が試みられている。
また、造血幹細胞移植の有効性も示唆されている。骨髄異形成症候群や炎症性消耗などによる血球減少
が顕著な場合は、適宜輸血療法を行う。
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