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【資料2-6】候補成分へのご意見募集に寄せられたご意見 (122 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58149.html
出典情報 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(第32回 5/23)《厚生労働省》
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助長させる可能性があります。まずはきちんと医療機関にかかり、ED という直接的な問題だけでなく、精神的ケアや夫婦間コミュニケー
ションに関する解決策など関連する課題を一緒に解決できる体制を構築しなければ、根拠と考えている「離婚」の解決にならないと考え
ます。そもそも、ED が、離婚や少子化の大きな要因としている考えには根拠が乏しいと言えます。理由は以下の2点です。
・令和 5 年度の「司法統計」によれば、離婚理由として最も多いのは「性格の不一致」であり、次いで異性関係や DV(精神的・身体的・
経済的・性的)が多い傾向にあります。性的活動の満足度に起因する離婚(性的不調和)はむしろ多い方ではなく、ED 治療薬の普及が離
婚の歯止めとして効果を発揮する可能性は低いと考えます。また、この離婚理由として挙げられる「性的不調和」がすべて ED に起因す
るわけではありません。性的不調和には、タイミングや頻度の不一致、暴力的な行為、性的嗜好の違い、女性の不妊など、多岐にわたる
要因が含まれます。司法統計を分析しても、
「性的不調和」のうち ED が原因とされる割合はさらに低いと考えられます。これらの複雑な
問題に包括的に取り組むことなく、ED 治療薬の普及を進めるだけでは、根本的な解決にはつながりません。
・さらに、そもそも少子化の問題は不妊だけではありません。法律婚以外の子どもへの支援不足や、家族制度の問題、経済的な問題など、
少子化の根本的要因は他にあります。これらの構造的問題を解決しない限り、ED 治療薬のスイッチ化が少子化対策として有効であるとは
言えません。
度々セクシャルウェルネスだったり Well-being というワードが出てきますが、性的な健康は性活動だけのことを言うだけではないはずで
す。セクシャルウェルネスとは、生理や月経、更年期、勃起不全、不妊、避妊、中絶など諸々の理由によって「個人が選択し性的に健康
である」と言えるのであって、
「子どもを産む=健康で幸福である」と感じる個人もいれば、産まない権利、産まない選択肢もまた同じよ
うに、女性や子どもにとっての Well-being につながるのです。緊急避妊薬を服用したい女性たちの事情は、ED 治療薬を必要としている理
由よりも、生命の危険、将来のキャリアや人生観の揺らぎなどもっと現実的で深刻です。自分が望まない妊娠をしてしまったのではない
かという身体への大きな不安にさらされます。なので緊急避妊薬はその選択肢を選ぶ最後の手段で時間制限もある薬です。そのため緊急
避妊薬と比較すると、ED 治療薬の必要性は限定的ですし緊急性もものすごく高いとは言えません。男性不妊の根本的問題点は「男性自身
の固定観念」です。それに対してのアプローチが「ED 治療薬の薬局販売化」はあまりに、ED 治療薬による性暴力・DV が助長される可
能性などを軽視しすぎているのではないでしょうか。実際にバイアグラを用いて度重なる性暴力加害をする事例も多数報告されています。
しかも、緊急避妊薬は、4.6 万件のパブコメのうち大多数が賛成していたにもかかわらず、慎重論、悪用や乱用を言われ、いまだに薬局販
売化に至っていません。それなのに、まったく同じように危険性や懸念があるはずの ED 治療薬だけなぜ「時短スキーム」で進もうとし
ているのか。その非対称性に強く抗議します。私は、男性不妊の当事者の権利を奪いたいわけではなく、ED 治療薬が入手しやすい環境に
なることは、当事者の課題解決に多少の効果は得られるかもしれません。しかし一方で、離婚率や少子化対策としての効果が限定的であ
り、むしろ包括的性教育や男性の固定観念を変える取り組みや、医療機関での治療を推進しより適切に問題に対応できる環境を整備する
ことが重要です。よって私は ED 治療薬のスイッチ OTC 化の再検討を求めます。

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