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【資料2-6】候補成分へのご意見募集に寄せられたご意見 (112 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58149.html
出典情報 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(第32回 5/23)《厚生労働省》
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結局、薬剤師と話さなければならないわけですから、ED 症状を自覚した多くの男性が「恥ずかしくて専門機関に行けない」と感じている
中で、OTC 化が進んでも社会全体で見れば根本的な問題解決にはならないと思います。ED の原因には身体的な問題だけでなく、心理的
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な要因や服薬の影響なども関係していると聞きます。本来は原因を突き止めて適切な治療を行うべき問題であり、場合によっては薬を服
用しなくても改善することもあるはずです。しかし、OTC 化を推進して薬の入手ハードルを下げ、その場しのぎで薬の力を借りるという
状況を安易に提供するわりに、リスクが全く考慮されていないのは怖いと感じます。
女性のリプロダクティブ・ヘルスに深く関わる問題でもあり、今回のスイッチ OTC 化には強く反対します。必ずしも不妊で悩む男女間の
問題を解決するために薬剤は使用されるとは限らず、OTC 化によって入手が容易になることで、その本来の用途を逸脱した使用や乱用さ

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らには性犯罪助長の懸念があります。またタダラフィル(シアリス)は、勃起不全(ED)改善を目的とした医療用医薬品ですが、患者個々
の健康状態を考慮しつつ適切な用量・用法を判断するためには、医師による診察・問診が不可欠です。特に心臓・血管系疾患など、ED 治
療薬の服用によって重篤な副作用が起こり得る患者が存在することは広く知られています。OTC 化によって、医師の関与が希薄になれば、
本来ならば注意すべき患者層への適切な制限や服用指導が行われず、医薬品の安全使用が大きく損なわれる可能性があります。
私は泌尿器科専門医・性機能専門医の医師です。日常診療において、タダラフィルの処方を行なう立場から、この度、僭越ながら、ご意
見を述べさせていただきます。
OTC 化についての基本論点
1.安全性の懸念 タダラフィルは医療現場で広く使用される薬剤ですが、添付文書の冒頭に、致死的な副作用や禁忌薬が記載されており、
その使用には細心の注意が必要です。添付文書に記載された警告や禁忌事項の中でも、特に以下の点が極めて重要と考えます。
o 硝酸薬との併用禁止:タダラフィルと硝酸薬(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジルなど)を併用するこ
とで血圧が急激に低下し、命に関わる危険性があります。添付文書でも、投与前後に硝酸薬が使用されていないことを十分に確認するよ

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う厳重に注意喚起されています。このような確認作業は医療従事者の管理下でなければ不可能であり、OTC 化により自己判断で使用され
ることで、重篤な健康被害が発生するリスクが非常に高まります。
o 心血管疾患患者への注意:タダラフィルの使用により、心筋梗塞や脳卒中などの心血管系の有害事象が報告されています。特に性行為
自体が心血管系に負荷をかけるため、基礎疾患のある患者には慎重な対応が求められます。心血管系疾患の有無を確認するには、詳細な
病歴聴取や適切な検査が必要であり、これも医療機関での診療が不可欠です。
o 肝機能や腎機能に問題のある患者への影響: 肝障害や腎障害を有する患者では、タダラフィルの代謝や排泄が遅れ、副作用のリスクが
増大します。これらの患者に対しては、用量の調整や慎重な経過観察が必要であり、自己判断での使用は非常に危険です。
o 視覚障害のリスク:稀ではありますが、非動脈性前部虚血性視神経症(NAION)による視覚障害が報告されています。視力低下の症状
が現れた場合には速やかな専門医の診察が必要であり、OTC 化により適切な対応が遅れる可能性があります。

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