資料 持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ) (64 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20250423zaiseia.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度分科会(4/23)《財務省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
○ 生活習慣病治療薬の処方は、性・年齢、進行度、副作用のリスク等に応じて、基本的には個別の患者ごとに医師が判断すべきものであるが、例えば、高血
圧薬については、Ca拮抗系に比して高価とされるARB系が多く処方されている。英国のガイドラインでは、第一選択薬にCa拮抗系が推奨される患者もいる。
○ また、糖尿病用剤(内服薬)についても、安価なビグアナイド系に比して、高価とされるDPP4系やSGLT2系が処方されているが、ビグアナイド系とDPP4系
の使用においては、両者の間で合併症の抑制効果に差はないとする研究もある。
◆ 主な血圧降下剤( (内服薬/外来・院外)の医療費影響額上位5品目 ◆ 主な糖尿病用剤(内服薬/外来・院外)の医療費影響額上位5品目
種類
主な品目
416億円
DPP-4阻害薬
ジャヌビア錠50mg
250百万
295億円
101百万
212億円
SGLT2阻害薬
ジャディアンス錠10mg
155百万
293億円
アジルバ錠10mg
77百万
72億円
DPP-4阻害薬
トラゼンタ錠5mg
206百万
272億円
ARB系/Ca拮抗系
レザルタス配合錠HD
90百万
71億円
SGLT2阻害薬
フォシーガ錠5mg
140百万
250億円
ARB系
オルメサルタンOD錠20mg「DSEP」
234百万
61億円
SGLT2阻害薬
フォシーガ錠10mg
94百万
249億円
Ca拮抗系
シルニジピン錠10mg「サワイ」
144百万
27億円
ビグアナイド
メトグルコ錠250mg
557百万
56億円
種類
主な品目
処方数量
ARB系
アジルバ錠20mg
297百万
ARB系
アジルバ錠40mg
ARB系
薬価×処方数量
◆ 高血圧薬の使用に関するガイドライン
【STEP1】
【A】ARB・ACE阻害薬、【C】Ca拮抗薬、【D】サイ
アザイド系利尿剤のいずれか
【STEP2】(以下の組合わせのいずれか)
ARB・ACE阻害薬 + Ca拮抗薬
ARB・ACE阻害薬 + サイアザイド系利尿剤
Ca拮抗薬 + サイアザイド系利尿剤
【STEP3】
ARB・ACE阻害薬 + Ca拮抗薬 + サイアザイド
系利尿薬
【STEP4】高血圧専門医へ紹介、【A】+【C】+
【D】+MR拮抗薬、βもしくはα遮断薬、さらにほか
の種類の降圧剤
(出所) 高血圧治療ガイドライン2019(日本高血圧学会)p.78図5-2を
もとに改変
薬価×処方数量
(出所) 第9回NDBオープンデータ(令和4年度のレセプト情報)
(出所) 第9回NDBオープンデータ(令和4年度のレセプト情報)
日本
処方数量
英国
【STEP1】
2型糖尿病を併発の全年齢 又は 55歳
以下の非アフリカ系・カリブ系
→ ARB阻害薬又はACE阻害薬
55歳以上かつ2型糖尿病を併発せず 又
は 2型糖尿病併発せずかつアフリカ系・カリ
ブ系
→ カルシウム拮抗剤
【STEP2】(略)
※ 1.4.27 適切であればジェネリックを処方し
費用を最小限に抑える。
(出所) Hypertension in adults: diagnosis and management
(NICE guideline [NG136])
◆ 糖尿病用剤の費用対効果に関する研究
【方法】2015年1月~2021年9月までに治療を開始した2型糖尿病患者について、傾向
スコアマッチングを用いて主にビグアナイド(BG)を処方されている群とDPP-4iを処方される
群に分け(合計416人が分析対象)、生存率解析を行った。
【結果】治療開始時からのDPP-4i阻害薬の使用と頻繁な通院は、その後の合併症の発症
を抑制する効果はなかった。他方、DPP-4阻害薬を使用し高頻度で通院を行った群の年
間の医療費は、BGを使用し、低頻度で通院を行った群の約1.9倍であった。日本人2型糖
尿病患者にとって、治療開始時にBGを使用しかつ比較的通院頻度を低くすることで、
DPP-4阻害薬の使用や頻繁な受診と同程度の合併症抑制効果を得ながら医療費を削
減することができると示唆される。
Yoshihara, H., Tonoike, T., Ohno, H., Nishiuchi, S., Igarashi, A. (2024). Impact of Initial Treatment Policies on
Long-term Complications and Costs in Japanese Patients with Type 2 Diabetes: A Real-World Database Study.
Diabetes Ther, 15, 1811-1820. https://doi.org/10.1007/s13300-024-01611-9 (財務省にて仮訳)
【改革の方向性(案)】
○ 薬剤の適正使用の推進の観点から、生活習慣病治療薬等について費用対効果も加味した処方ルールを設定すべき。また、フォーミュラリの活用により、
処方ルールの実効性を高めるべき。さらに、必要に応じ、症状が安定した慢性疾患への治療薬(降圧剤等)のスイッチOTC化を推進するべき。
63