資料 持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ) (63 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20250423zaiseia.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度分科会(4/23)《財務省》 |
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○ 患者本位の良質な治療を全国どの地域でも保障するためには、「標準的な薬物治療」の推進が重要。「有効性・安全性・経済性」等
を踏まえ、優先的に選択されるべき「医薬品のリスト・使用指針」として地域関係者が策定する「地域フォーミュラリ」の普及が期待される。
○ 地域フォーミュラリは、患者本人や医療保険者はもとより、医療機関や薬局、医薬品流通業界にもメリットが大きい一方、取組事例は
一部地域に留まっており、政策的にも、後発医薬品の使用促進の文脈で触れられている程度であり、その推進力は不十分である。
◆経緯
「骨太方針2021」(令和3年6月18日閣議決定)が「フォーミュラリの活用」を提唱。
令和4年度厚生労働科学特別研究事業の成果を踏まえ、2023年7月7日、
厚労省が「フォーミュラリの運用について」(課長通知)を発出。
2023年11月には、日本フォーミュラリ学会が、「地域フォーミュラリの実施ガイドラ
イン-地域フォーミュラリの作成・運営・評価などに関する指針-」を公表。
◆定義
(1)地域フォーミュラリとは
○ (略)「地域の医師、薬剤師などの医療従事者とその関係団体の協働により、有効
性、安全性に加えて、経済性なども含めて総合的な観点から最適であると判断
された医薬品が収載されている地域における医薬品集及びその使用方針」(略)
(2)フォーミュラリの目的
○ フォーミュラリは、 患者に良質な薬物療法を提供することを目的として、最新の科学
的なエビデンスに基づき、医学的・薬学的な観点のほか経済性等も踏まえて、地域
における関係者の協働の下で作成・運用されるものである。
(出所)「フォーミュラリの運用について」 (令和5年7月7日厚労省課長通知)
◆医療費適正化に関する施策についての基本的な方針(令和5年7月20日 厚生労働省告示第234号)
第四期都道府県医療費適正化計画においては、各都道府県が設定する後発医薬品及
びバイオ後続品の使用促進に関する数値目標の達成に向け、都道府県域内における後発
医薬品及びバイオ後続品の使用促進策等について記載することが考えられる。こうした施策と
しては、例えば、(略)医薬品の適正使用の効果も期待されるという指摘もあるフォーミュ
ラリについて、都道府県域内の医療関係者に対して「フォーミュラリの運用について」(令和
5年7月)の周知をはじめとした必要な取組を進めることが考えられる。
◆地域フォーミュラリのメリット
【患者】
処方薬の統一(利用する医療
機関の変更により医薬品の選択
が左右されない)
漫然投与・重複投与が回避され、
残薬も減少
医療費の自己負担の減少
【医療機関】
薬物治療の標準化(医師の恣
意性や能力格差による治療の質
のバラつきの解消)
従事医師の働き方改革
【調剤薬局】
服薬指導・管理の質向上と効
率化
効率的・計画的な薬剤購入と
在庫管理
医薬品の鑑別、処方提案の
合理化・簡素化
【医薬品 流通業界】
効率的・計画的な在庫管理と
配送業務の遂行
【医療保険者】
治療の質の維持・向上
医療保険給付費の適正化
◆先行事例
山形県酒田市にて、地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」が主体と
なり、医師会・薬剤師会と連携しつつ作成。(2018年11月)
大阪府八尾市にて、薬剤師会、医師会、歯科医師会と市内の基幹3病院が連
携して作成。(2021年11月)
足元では、茨城県つくば地区、広島県備北地区、北海道札幌市手稲区などで
地域ごとの特色に沿った取組が進められている。
【改革の方向性】(案)
○ 「標準的な薬物治療」に資する取組として、地域フォーミュラリを強力に推進すべく、薬務行政における対応にとどまらず、各医療
保険制度における保険者インセンティブ制度の活用や医療介護総合確保基金による支援など、必要な施策を早急に実施すべき。 62