資料 持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ) (125 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20250423zaiseia.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度分科会(4/23)《財務省》 |
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○ 生活保護受給者の多くは自己負担なく、医療費全額を医療扶助で負担しており、頻回受診や多剤・重複投薬等の対策が必要。
○ 受診・服薬の指導対象者の選定に当たり、審査済みのレセプトの活用は不可欠だが、現在、福祉事務所では、外部委託も活用し
つつ各自でデータの加工等を行っており、事務負担の大きさから受給者への指導等に十分なリソースを割きにくく、また、医療上の専
門性の不足や統一的な指導基準の欠如等から、指導に至らない又は改善までには至らない、といった課題が存在。
◆医療扶助の状況(R7年度当初予算 事業費 約1.9兆円 うち国費3/4)
うち 長期入院 R5指導対象 2,920人(うち改善2,362人、改善率81%)
頻回受診 R5指導対象 1,800人(うち改善 943人、改善率52%)
重複投薬 R5指導対象 2,717人(うち改善1,475人、改善率54%)
・ 1人当たり年間医療扶助費 入院29万8,808円 入院外31万8,144円
(医療費全体 入院13万6,349円 入院外19万56円)
(出所)厚生労働省調べ
◆診療~データ活用の流れ
医療機関
福祉事務所(各自治体)
①受診した患者
を診療
②報酬請求
診療報酬
請求
(診療翌月10日迄)
③レセプト審査
④審査後請求
(診療翌々月10日迄)
⑤レセプト保存
※生保システム
審査済み
レセプト
の活用
⑥レセプト分析
※レセプト情報は直ちに分析可能な形でデー
タが配列されていないことなどから、頻回受診
者や多剤・重複投薬者等の抽出にはデータ
加工が必要(各自治体で外部委託等)
⑦被保護者への介入等
※介入の要否等の判断に医療上の専門性
等が必要であり嘱託医協議等を実施
医療上の専門性の不足・
統一的な指導基準の欠如等
診療
診療報酬支払基金
データ分析等に係る
事務負担の大きさ
・ 生活保護受給者数 約201万人 うち医療扶助受給者数 171万人
◆重複投薬・多剤投与の指導対象者の拡大に当たっての課題
(2024年10月 厚生労働省実施の自治体アンケートより)
• 多剤投与者の抽出についてシステムが未対応であるため、指導等
ができない。
• レセプト抽出作業が困難であり、対象者を絞った指導ができていな
い。同一疾患で複数の医療機関を同時に受診ができないことを担当
ケースワーカーから保護者に周知している。
• 15種類未満を指導対象とすると、非常に多くの対象者が抽出され、
全てを対応するにはマンパワーが不足する。
• 対象者の抽出は可能であるが、医療の専門家ではないため、スク
リーニングが困難。嘱託医の業務量を考慮すると、スクリーニングを
依頼するのは困難。
• 毎年(回)、指導対象として抽出されたケースの対応については、
嘱託医協議で検討をするが、各市町村の判断で介入する、介入し
ないケースに分かれてくる。全国的に統一した基準等、検討が必要
ではないか。医療扶助において、15種類未満の処方ができない仕
組みがないなか、何をどこまで指導していくのか、病状に応じた薬が処
方されている場合については、薬局の一本化、お薬手帳の活用を徹
底してもらう指導までとなり、多剤の解決には至らない。
• 多剤で介入しても、多剤を解消できるケースは少ないが、国の評価基
準では、把握月の薬の種類を基準としているため、新たに増えている
ものは、評価基準から除かれ、結果として、改善したか、変化なしの
結果となる(評価方法の見直しが必要ではないか)。
※現在、多剤投薬の指導対象者は、厚生労働省の通知において「同一月内に
15種類以上の医薬品の投与を受けている者」としている。他方で、日本老年
医学会のガイドラインによれば、「高齢者に対する処方の実態から考えると5~
6種類以上を多剤併用の目安と考えるのが妥当」としている。
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