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令和8年度予算の編成等に関する建議 参考資料3 (141 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20251202/index.html
出典情報 令和8年度予算の編成等に関する建議(12/2)《財務省》
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産業政策のあり方②

資料Ⅱ-8-8

○ 過去、特定産業に対して大企業も含む支援を行ったものの、プロジェクトは失敗し、期待された成果を上げられなかった事例が複
数存在。
○ 産業政策についても十分なエビデンスに基づく必要があり、最近の研究では、①妥当性、②制度設計、③費用便益分析、④実
効性、の観点からの評価が重要であるとの指摘がある。近年は、地球規模の気候変動問題への対応や、経済安全保障環境の激
化等を背景に、先進各国で経済への国家の関与が高まっており、我が国でも戦略分野への投資拡大等に向けた取組は必要であ
るが、産業政策が有効たり得るのは、脱炭素分野のような明らかに外部性が特定される分野や、半導体分野のように国内に与え
る波及効果が大きい分野に限られると指摘されている。
◆過去の特定産業に対する支援の例

◆産業政策評価のフレームワーク



1.妥当性(Justification)
● 目的は何か、政府が介入すべきケースなのか
✓ 負の外部性等の市場の失敗の有無

三菱リージョナルジェット(MRJ)
・ 我が国単独の完成旅客機開発の事業化を目指し、民間事業
者による研究開発等を後押し。
・ 2003年以降、2010年代半ばまで、合計で約500億円の補助金
を累次にわたり交付。
・ しかし、設計変更等のため、当初は2013年の就航を目指し
ていた計画は大幅に後ろ倒れ、また最後まで米欧等の市場国
における安全認証の見通しが立たなかったことを受け、開発
中止に至った。
(注)経済産業省は、開発中止に至った要因について、①安全認証プロセス
の理解・経験不足、②海外サプライヤー対応の経験不足、③市場環境、
④政府の支援・取組の在り方、の四点が複合的に作用した結果であると
指摘している(2024年4月「航空機産業戦略」)。



第五世代コンピュータプロジェクト
・ 「独創的な国産コンピュータ技術の開発を行って諸外国に
対抗」するべく、産官学で立ち上げられたコンソーシアムに
おいて研究を実施。
・ 1982年から1992年にかけて、約540億円の予算を措置。
・ しかし、多様な研究者の参画に至らなかったこと、企業の
コミットメントや資金拠出も促進されなかったことで、競合
する技術の開発スピードに劣後し、製品化には結びつかない
まま事業は終了。

2.制度設計(Design)
● 補助金・金融支援、制度面の対応等、手法は最適か
● 専門家によるプロジェクト選定、定期的なモニタリングやレビューといった、
透明性のある仕組みを導入しているか
● 民間部門の役割は明確か、過去の教訓を踏まえているか
3.費用便益分析(CostBenefitAnalysis)
● 期待される利益は、コストやリスクを上回っているか
4.実効性(Implementation)
● 財政の持続可能性等と整合的か
(出所)IMF「Industrial Policy Coverage in IMF Surveillance–Broad Considerations」(2024年2月),
OECD「An Industrial Policy Framework for OECD Countries」(2022年5月)

○ 産業政策は、以下のような場合に限って有効
- 温室効果ガス排出削減のように、政策によって改善される負の外部性
が明らかに特定される
- 半導体分野のように、対象セクターでのイノベーションが、国内に与える
波及効果が大きい
(出所)IMF Fiscal Monitor(2024年4月),
IMF「Industrial Policy Is Not a Magic Cure for Slow Growth」(2024年4月)