令和8年度予算の編成等に関する建議 参考資料3 (140 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20251202/index.html |
| 出典情報 | 令和8年度予算の編成等に関する建議(12/2)《財務省》 |
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資料Ⅱ-8-7
○ 特定産業を対象とした支援では、①政府の情報制約による支援対象の選択の失敗、②既得権益化、③政府支援が不要な投
資への支援、といった政府の失敗のリスクに留意する必要性を指摘されている。
○ 近年増加している特定産業への補助金による企業の供給能力強化策のみでは、自走可能な取組とならない可能性がある。段
階的に補助金による支援から金融支援に移行し、制度環境整備による競争力向上を図るなど、いつどのように支援を終了するか
の出口戦略を設ける必要がある。
◆特定の産業を対象とした支援の主なリスク
◆経済活動における民間部門と公共部門の役割
情報制約
● 特定の産業支援を成功させるためには、政府が正しい産業を対象と
することが必要。従って、収益性・リスク・波及効果等様々な情報が必
要となるが、政府が十分な情報を得ることが困難であるリスク
• 今日では、市場と民間企業が経済が成功するための必須条
件であることと、一方で政府も市場を補完するうえで重要な役
割を果たしているということでは、広く意見の一致を見ている。
• 市場がしばしば機能しないことがあるが、一方で政府も市場の
失敗を修正するのに成功しないことがある。【中略】
しかし政府の限界を認識することによって、市場の失敗が非常
に深刻である分野および政府介入によってかなりの違いがもたら
されると確実に期待される分野のみに政府のエネルギーは向け
られるべきである、ということがわかる。今日では、アメリカの経済
学者の間で支配的な考えは、限定的な政府介入は最悪の問
題を(解決することができないにしても)軽減することはできると
いうことである。したがって、政府は完全雇用を維持し、貧困の
最悪な側面を軽減するためには、積極的な役割を果たすべき
であるが、経済では民間企業が中心的役割を演ずべきだとする
のである。
既得権益
● 情報の非対称性により、政策をめぐるロビイング競争が行われるリスク
ー ロビイングによる資源の浪費
ー 最適な政策が選択されないリスク
● うまくいっていない政策を途中でやめることが困難となるリスク
政府支援が不要な投資への支援
● 政府支援の如何に関わらず行われた投資に対して支援を行うことに
より、財政支出を浪費するリスク
(出所)OECD「Pro-Competitive Industrial Policy」(2024年5月),
OECD「An Industrial Policy Framework for OECD Countries」(2022年5月)
(出所)“Economics of the Public Sector” J. Stiglitz, J. Rosengard【訳:薮下史郎】(2022)pp8,p12
◆出口戦略やサンセット条項の導入
政府による支援は原則一時的である必要があり、産業政策はいつどのように支援の終了または段階的縮小をするのかの出口戦略を包含すべき。
また、産業政策は定期的に評価・検証される必要がある
(出所)IMF「Industrial Policy Coverage in IMF Surveillance–Broad Considerations」(2024年2月), OECD「Pro-Competitive Industrial Policy」(2024年5月)