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【参考資料2-3】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編 (9 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

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薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編

(3) 腸内細菌目細菌

2 (i)
3

第四版

基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌目細菌

疫学と臨床的特徴
基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ(Extended-spectrum β-lactamase:ESBL)は、

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通常、ペニシリン系、第 1 世代~3 世代セファロスポリン系、モノバクタム系抗菌薬

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は分解できるものの、セファマイシン系やカルバペネム系抗菌薬は分解できず、ク

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ラブラン酸等の β-ラクタマーゼ阻害薬によって阻害される特徴を持つ酵素である 24。

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以前は TEM 型・SHV 型 ESBL を産生する肺炎桿菌が主であったが、2000 年代以降

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は CTX-M 型の ESBL 産生大腸菌が主体となっている 25。JANIS の 2023 年(入院検

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体)のデータでは、全国の医療機関の入院患者におけるセフォタキシム耐性の大腸

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菌と肺炎桿菌の割合は各々27.0%、13.7%であり、セフォタキシム耐性菌の多くが

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ESBL 産生腸内細菌目細菌(以下、ESBL 産生菌)であると考えられる 26。また、外

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来検体においても大腸菌の 17.6%はセフォタキシム耐性であり 27、ESBL 産生大腸菌

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の市中への拡大が問題になっている。臨床像としては UTI が最も多く、肝胆道系感

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染症を始めとした腹腔内感染や、それらに起因する敗血症、さらに肺炎や皮膚軟部

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組織感染症の原因菌ともなりえる。感染リスク因子には過去 1 年以内の抗菌薬使用

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歴、長期療養型等の施設滞在歴、入院歴や ICU 滞在歴、医療デバイス留置歴、海外

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渡航歴(特に南アジア・東南アジア)等があるが 28-30、市中での感染リスク等不明

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な点も少なくない。

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微生物学的診断

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ESBL 産生の有無を確認することが推奨されており、CLSI においてその基準が定

23

まっている菌種は、大腸菌及び肺炎桿菌、Klebsiella oxytoca、P. mirabilis であるがエ

24

ラー! 参照元が見つかりません。

、これ以外の腸内細菌目細菌をはじめとするグラム陰性桿菌にも

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多く存在する。第 3 世代セファロスポリン系やアズトレオナムのスクリーニング基

26

準を満たした株において ESBL の阻害剤を用いた確認試験が推奨される 31。CTX-M

27

型等一部の ESBL 遺伝子は遺伝子検査機器でも同定可能である。薬剤感受性検査を

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実施する。

29
30

治療方針

31

ESBL 産生菌が喀痰・ドレーン先端等の無菌的でない検体から検出された際は、必

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ずしも感染を起こしているとは限らず、単に保菌しているのみ(無症候性保菌)の

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場合もある。また、無症候性細菌尿に関しても、特殊な患者背景(妊婦、泌尿器科

34

的侵襲的処置前、腎移植 1 か月後以内)のない場合は通常治療対象とはならない 33。

35

ESBL 産生菌による感染症の場合、特に重症例・免疫不全者等ではカルバペネム系抗
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