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【参考資料2-3】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編 (12 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編

1

(ii) AmpC β-ラクタマーゼ産生腸内細菌目細菌

2

疫学の概要と臨床的特徴

3

AmpC 遺 伝 子 を 染 色 体 に コ ー ド す る 代 表 的 な 腸 内 細 菌 目 細 菌 と し て は 、
cloacae、Klebsiella

aerogenes、Citrobacter

freundii、Serratia

4

Enterobacter

5

marcescens、Morganella morganii、Providencia rettgeri、Hafnia alvei 等がある。

6

染色体性 AmpC 産生腸内細菌目細菌(以下、染色体性 AmpC 産生菌)感染症の最

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大の特徴は、治療前に第 3 世代以下のセファロスポリン系抗菌薬に感性があったと

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しても、同剤で治療中に AmpC を過剰産生することで耐性化し、最終的に治療に失

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敗する可能性がある、という点である。臨床研究での治療中の耐性化率は最大でも

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約 20%程度 46 であり、また耐性化する(つまり、微生物学的な治療失敗)ことが即

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ち、臨床的に治療に失敗するということを意味するわけではない 47。第 3 世代セファ

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ロスポリン系抗菌薬に曝露した場合に耐性化するリスクは、前述の染色体性 AmpC

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産生菌の菌種間でも差があり、具体的には E. cloacae、K. aerogenes、C. freundii の

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3 菌種ではリスクが高い一方 48 で、それ以外の菌種では、相対的にリスクが低いか、

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あるいはリスクがどの程度なのかまだ分かっていない。

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また、AmpC 遺伝子を染色体にコードしていない肺炎桿菌、Klebsiella oxytoca、

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Proteus mirabilis あるいは染色体にコードしていてもそれが臨床的に問題となること

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が殆どない大腸菌等の菌種でも、プラスミド等を介して、染色体性 AmpC 産生菌由

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来の AmpC 遺伝子を獲得する場合がある。これらのプラスミド性 AmpC 産生菌は、

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原則的に感受性検査では第 3 世代以下のセファロスポリン系抗菌薬に非感性を示す。

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微生物学的診断

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プラスミド性 AmpC 産生大腸菌及び肺炎桿菌、K. oxytoca、P. mirabilis 等の菌種で

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は、第 3 世代セファロスポリン系抗菌薬に非感性を示した場合、ESBL との鑑別が必

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要になる。ESBL 産生の場合、セファマイシン系やオキサセフェム系抗菌薬に感性を

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示す一方で、プラスミド性 AmpC では多くの場合、低感性~非感性を示す。スクリ

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ーニング陽性株に対しては、表現型等による確認検査を行う(付録 p.9 参照)。薬剤

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感受性検査を実施する。

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治療方針

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第 4 世代セファロスポリン系抗菌薬であるセフェピムは、AmpC 過剰産生株に対

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しても活性が安定しており、観察研究では染色体性 AmpC 産生菌感染症において、

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カルバペネム系抗菌薬と同等の治療成績が報告されており 49、現時点での第一選択

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薬となる。ただし、染色体性 AmpC 産生菌において、セフェピムの MIC が感性域

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