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【参考資料2-3】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編 (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

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第四版

薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編

黄色ブドウ球菌菌血症の評価・治療は「セット」で行う

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黄色ブドウ球菌菌血症を確認した場合、まずは「複雑性」か「非複雑性」の菌血

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症かの見極めが必要になる。これにより治療期間が変わるためとても大事な評価で

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あり、以下の評価をセットで必ず行う。以下の a)~e) の条件すべてを満たした場合

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に「非複雑性」の菌血症と判断される。

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a) 感染性心内膜炎の除外

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すべての患者において、心エコーを行うことが必須と考えられる。特に感染性

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心内膜炎ハイリスクと考えられる患者(塞栓症状のある患者、ペースメーカー

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留置患者、感染性心内膜炎の既往のある患者、人工弁術後の患者、静脈内薬物

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使用者)に関しては、経食道的心エコー(Transesophageal echocardiography:

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TEE)が必要である 6。

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b) 体内に異物が入っていない
人工弁やペースメーカー/植込み型除細動器、人工関節等がないか確認する。

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2~4 日以内に繰り返して行った血液培養が陰性である

c)

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黄色ブドウ球菌菌血症の治療を行う場合、必ず血液培養の陰性化を確認する。

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また治療期間の決定という観点からは、初回陽性検体の採取日から 2~4 日以内

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に血液培養を繰り返す必要がある。

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d) 適切な抗菌薬治療開始後 72 時間以内に解熱している

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e) 転移病巣(血行性に移行した二次感染巣)がない

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転移病巣として頻度が高いものに心臓弁、骨や関節、椎間板、硬膜外腔、それ

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に腹腔内臓器(肝臓、腎臓、脾臓等)が挙げられる 7。感染のフォーカスと考え

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られる部位に関しては、積極的にドレナージや除去を考える。感染したカテー

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テルを留置し続けることは再発のリスクを上げる 7。

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治療期間は最低 2〜4 週間、点滴で行う



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黄色ブドウ球菌菌血症は、その再発率の高さや疾患の性質から、非複雑性菌血症

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の場合は「最低でも 2 週間」、複雑性菌血症の場合は「最低でも 4 週間」点滴治療を

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行う必要がある 8。菌血症診断時に、静脈カテーテル等抜去可能な血管内異物がある

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場合は、可能な限り抜去する。

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初期抗菌薬選択の際は MRSA を念頭に



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黄色ブドウ球菌が血液培養から検出され、感受性がわからない期間は、その菌が

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MRSA である可能性を念頭に抗 MRSA 薬(バンコマイシン等)で初期治療を行う。

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一方で、この際に、抗 MRSA 薬に加え MSSA のカバー目的にセファゾリンを併用す

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