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【参考資料2-3】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編 (33 ページ)
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| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
第四版
薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編
2
(ii) ス テ ノ ト ロ フ ォ モ ナ ス ・ マ ル ト フ ィ リ ア (Stenotrophomonas
maltophilia)
3
疫学の概要と臨床的特徴
1
4
ステノトロフォモナス・マルトフィリア(以下 S. maltophilia)はブドウ糖非発酵
5
のグラム陰性桿菌である 165,166。病院内外の栄養に乏しい水生環境で生存可能で、プ
6
ラスチックにも付着しバイオフィルムを形成する 165。そのため、静脈カニューレを
7
はじめとした臨床現場で使用される人工物や、透析液、水道水、シンク等の院内環
8
境から検出される 165。
9
S. maltophilia による感染症は、CRBSI を含む菌血症、呼吸器感染症の頻度が高い
10
166,167。特に血液悪性腫瘍患者において、急速に進行する出血性肺炎が死亡率の高い
11
病態として知られている 168,169。その他、眼内炎、心内膜炎、髄膜炎、皮膚軟部組織
12
感染症、インプラント関連感染症等幅広い感染症の原因として報告がある 165。
13
S. maltophilia 感染症の罹患のリスクとして、悪性腫瘍(特に血液悪性腫瘍、中で
14
も造血幹細胞移植レシピエント)・嚢胞性線維症・HIV 感染症といった基礎疾患、静
15
脈薬物使用、事故による外傷、手術・長期入院・静脈内カテーテルや尿道カテーテ
16
ルの使用、ICU 入室、人工呼吸器使用、免疫抑制治療等の要因が挙げられる 165。
17
日本で利用可能な薬剤感受性検査について CLSI では、ST 合剤・レボフロキサシ
18
ン・ミノサイクリン・セフィデロコルにおける MIC の判定基準を定めておりエラー! 参照
19
元が見つかりません。
、一方、EUCAST では ST 合剤のみ MIC の判定基準を定めている(詳細
20
は付録 p.27-28 参照)170。また、CLSI 及び EUCAST はコリスチンとチゲサイクリン
21
に対するブレイクポイント 171(薬剤感受性検査結果から、抗菌薬の治療効果を予測
22
するために使用する基準値)を定めていない 170。また、ミノサイクリンの感性のブ
23
レイクポイントは MIC ≤ 1 μg/mL であり、腸内細菌目細菌のブレイクポイントとは
24
異なることに注意が必要であるエラー! 参照元が見つかりません。。
25
26
27
治療方針
S. maltophilia は罹患リスクのある患者において、主に CRBSI や肺炎の原因となる
28
167。特に呼吸器には定着しやすく、特に
29
ルバペネム系抗菌薬)がある患者、気管切開後の患者では定着しやすい。そのため、
30
無菌検体以外の臨床検体から分離された場合、侵襲性感染症の原因となっているか
31
どうかを評価する 167。CRBSI におけるカテーテルの抜去等の感染巣のソースコント
32
ロールを行う 172,173。
ICU 入室が長い患者や抗菌薬曝露(特にカ
33
S. maltophilia は様々な系統の抗菌薬に対して内因性の耐性機構を備えており(詳
34
細は付録 p.27-28 参照)、抗菌薬の選択肢が限られる。また、抗菌薬治療について、
35
レジメン間の有効性を比較した RCT はない。使用経験の豊富さと感性が保たれてい
33
第四版
薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編
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(ii) ス テ ノ ト ロ フ ォ モ ナ ス ・ マ ル ト フ ィ リ ア (Stenotrophomonas
maltophilia)
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疫学の概要と臨床的特徴
1
4
ステノトロフォモナス・マルトフィリア(以下 S. maltophilia)はブドウ糖非発酵
5
のグラム陰性桿菌である 165,166。病院内外の栄養に乏しい水生環境で生存可能で、プ
6
ラスチックにも付着しバイオフィルムを形成する 165。そのため、静脈カニューレを
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はじめとした臨床現場で使用される人工物や、透析液、水道水、シンク等の院内環
8
境から検出される 165。
9
S. maltophilia による感染症は、CRBSI を含む菌血症、呼吸器感染症の頻度が高い
10
166,167。特に血液悪性腫瘍患者において、急速に進行する出血性肺炎が死亡率の高い
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病態として知られている 168,169。その他、眼内炎、心内膜炎、髄膜炎、皮膚軟部組織
12
感染症、インプラント関連感染症等幅広い感染症の原因として報告がある 165。
13
S. maltophilia 感染症の罹患のリスクとして、悪性腫瘍(特に血液悪性腫瘍、中で
14
も造血幹細胞移植レシピエント)・嚢胞性線維症・HIV 感染症といった基礎疾患、静
15
脈薬物使用、事故による外傷、手術・長期入院・静脈内カテーテルや尿道カテーテ
16
ルの使用、ICU 入室、人工呼吸器使用、免疫抑制治療等の要因が挙げられる 165。
17
日本で利用可能な薬剤感受性検査について CLSI では、ST 合剤・レボフロキサシ
18
ン・ミノサイクリン・セフィデロコルにおける MIC の判定基準を定めておりエラー! 参照
19
元が見つかりません。
、一方、EUCAST では ST 合剤のみ MIC の判定基準を定めている(詳細
20
は付録 p.27-28 参照)170。また、CLSI 及び EUCAST はコリスチンとチゲサイクリン
21
に対するブレイクポイント 171(薬剤感受性検査結果から、抗菌薬の治療効果を予測
22
するために使用する基準値)を定めていない 170。また、ミノサイクリンの感性のブ
23
レイクポイントは MIC ≤ 1 μg/mL であり、腸内細菌目細菌のブレイクポイントとは
24
異なることに注意が必要であるエラー! 参照元が見つかりません。。
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治療方針
S. maltophilia は罹患リスクのある患者において、主に CRBSI や肺炎の原因となる
28
167。特に呼吸器には定着しやすく、特に
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ルバペネム系抗菌薬)がある患者、気管切開後の患者では定着しやすい。そのため、
30
無菌検体以外の臨床検体から分離された場合、侵襲性感染症の原因となっているか
31
どうかを評価する 167。CRBSI におけるカテーテルの抜去等の感染巣のソースコント
32
ロールを行う 172,173。
ICU 入室が長い患者や抗菌薬曝露(特にカ
33
S. maltophilia は様々な系統の抗菌薬に対して内因性の耐性機構を備えており(詳
34
細は付録 p.27-28 参照)、抗菌薬の選択肢が限られる。また、抗菌薬治療について、
35
レジメン間の有効性を比較した RCT はない。使用経験の豊富さと感性が保たれてい
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