よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


【参考資料2-3】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編 (24 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編

1

染症でも、感染巣のコントロールができていないか、あるいは重症の場合には、後

2

述の新規 β-ラクタム系抗菌薬も治療選択肢となる。

3

より治療選択肢に困るのは、DTR-PA 感染症である。この場合、既存薬では、UTI

4

を除いて臨床的有効性が確立しておらず、かつ有害事象の頻度が高いアミノグリコ

5

シド系抗菌薬とコリスチンしか選択できる抗菌薬がない。2014 年以降に、米国で承

6

認された新規 β-ラクタム系抗菌薬の中で、特にタゾバクタム/セフトロザンは耐性緑

7

膿菌感染症における臨床実績が豊富であり、MDRP 感染症において、アミノグリコ

8

シド系抗菌薬やコリスチンを中心とした BAT と比較して、臨床転帰が改善し腎障害

9

の頻度は低下することが複数の観察研究で示されているエラー! 参照元が見つかりません。,110。一

10

方でそれ以外の新規 β-ラクタム系抗菌薬の耐性緑膿菌感染症での臨床実績はまだ限

11

られている(詳細は付録 p.20-21 参照)。

12

また、MDRP や DTR-PA 感染症を対象として新規 β-ラクタム系抗菌薬同士を比較

13

した臨床研究に関しては、タゾバクタム/セフトロザンとアビバクタム/セフタジジム

14

を比較した観察研究がいくつかある 111-115 が、いずれにおいても死亡率に差はない。

15

その他の臨床転帰に関しては、過去最大規模の観察研究においてタゾバクタム/セフ

16

トロザンで臨床的治癒率が高かったことが報告されている 111。微生物学的転帰、特

17

に耐性株の出現率に関しては研究ごとに結果が割れており、タゾバクタム/セフトロ

18

ザンで低い 114 とするものもあれば、逆にアビバクタム/セフタジジムで低い 112 とす

19

るものもある。

20

現時点では、新規 β-ラクタム系抗菌薬間での比較試験が不足していること、BAT

21

との比較試験で死亡率の低下が示されており、かつ臨床経験が最も豊富であること、

22

市販の検査機器で薬剤感受性が測定可能なことを理由として、DTR-PA 感染症におい

23

てはタゾバクタム/セフトロザンが第一選択薬となる。ただし、タゾバクタム/セフト

24

ロザンは使用中及び使用後に最大 20%の頻度で耐性株が出現することが報告されて

25

いる 116。タゾバクタム/セフトロザン使用後の耐性化が確認されている DTR-PA 症例

26

では極力、その他の新規 β-ラクタム系抗菌薬の感性を確認することが望ましいが、

27

残念ながら現時点で感受性検査の利用可能性が限定的である。タゾバクタム/セフト

28

ロザンに耐性化した場合、アビバクタム/セフタジジムは交叉耐性のリスクが高いエラ

29

ー! 参照元が見つかりません。

ため、タゾバクタム/セフトロザン曝露後に耐性化し、その他の新

30

規 β-ラクタム系抗菌薬の薬剤感受性検査ができない場合には、レレバクタム/イミペ

31

ネム/シラスタチンかセフィデロコルを選択するのが賢明である。ただし、セフィデ

32

ロコルはその他の新規 β-ラクタム系抗菌薬と異なり、重症カルバペネム耐性グラム

33

陰性桿菌を対象として BAT と比較した第 3 相試験内のサブ解析で、カルバペネム耐

34

性緑膿菌感染症において BAT 群と比較して死亡率の低下を認めず 118、さらには MBL

24