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【参考資料2-3】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編 (62 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編

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ダプトマイシンの添付文書では、適応菌種は「ダプトマイシンに感性のメチシリ

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ン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」となっており、敗血症、感染性心内膜炎の場合は、

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「通常、成人にはダプトマイシンとして 1 日 1 回 6 mg/kg を 24 時間毎に 30 分かけ

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て点滴静注又は緩徐に静脈内注射する。」と記載されている。

5
6

(3) ESBL 産生腸内細菌目細菌

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(i) 治療薬に関する既存のエビデンス

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タゾバクタム/ピペラシリンは海外でのランダム化比較試験(MERINO 試験)の結

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果、ESBL 産生大腸菌(n=328、86%)又は肺炎桿菌(n=51、13%)による血流感染

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症に対し、カルバペネム系抗菌薬に対する非劣性が証明されなかった 7。このため、

11

タゾバクタム/ピペラシリンは ESBL 産生菌の血流感染症患者に対して一般的に使用

12

は推奨されないエラー! 参照元が見つかりません。。しかし、MERINO 試験に含まれた ESBL 産生

13

菌のうち、ESBL 以外の β-ラクタマーゼ(OXA-1)産生する株が 7 割近くに上ったこ

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とが判明しており、これがタゾバクタム/ピペラシリンの MIC 上昇等その有効性にマ

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イナスの影響を与えた可能性も考察されている 9。MERINO 試験におけるタゾバクタ

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ム/ピペラシリンの MIC が 16 μg/mL を超える菌株を除いた解析ではタゾバクタム/ピ

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ペラシリンのメロペネムに対する 30 日死亡率に関し、統計学的に有意な絶対リスク

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増加はなくなった 9。日本国内の過去の検討では ESBL 産生大腸菌のうち、OXA-1 産

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生株の頻度は遥かに低く、タゾバクタム/ピペラシリンの MIC も MERINO 試験のコホ

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ートより低めの傾向がある 10,11。このため、日本国内では、タゾバクタム/ピペラシ

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リンの MIC が 8 μg/mL 以下(2022 年からは CLSI のブレイクポイントが引き下げら

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れ、8 μg/mL 以下が感性となっている)等十分に低く、既に改善傾向を示している尿

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路感染症やドレナージのされた肝胆道系疾患の症例等では必ずしも全例をカルバペ

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ネム系抗菌薬に変更する必要はないが、症例ごとに慎重な判断が求められる。

25

セファマイシン系やオキサセフェム系抗菌薬は ESBL 産生大腸菌に対する血流感

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染症に対して過去の観察研究ではカルバペネム系抗菌薬に対する非劣性が示されて

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いる 11。しかし、血液悪性腫瘍患者や好中球減少者は解析から除外されていること

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から、これらへの患者への有効性は不明であり使用を避けるのが望ましい。特に

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ESBL 産生大腸菌による尿路感染症においては別の多施設観察研究でも非劣性が確認

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されている 11。現在、ESBL 産生大腸菌による血流感染症を対象にしたセフメタゾー

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ルとカルバペネム系抗菌薬の RCT が施行中である 12。大腸菌以外の ESBL 産生菌に

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関してはセフメタゾールの臨床的有効性を示すデータはこれまでのところ乏しい。

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