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【参考資料2-3】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編 (79 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編

1

(7) アシネトバクター属菌(主に A. baumannii)

2

(i) アシネトバクター属菌における薬剤耐性の問題とその機序

3

全世界での薬剤耐性菌が寄与する死亡を推定した報告では、2021 年にカルバペネ

4

ム耐性 A. baumannii(CRAB)が寄与した死亡は 78,100 人で、1990 年と比べて約

5

1.5 倍に増加したエラー! 参照元が見つかりません。。

6

特に、東南アジア・南アジア諸国、南米諸国、ロシアを含む東欧諸国における

7

CRAB の広がりが問題となっているエラー! 参照元が見つかりません。-95。また、欧州・北米でも

8

CRAB が問題で、臨床分離株におけるメロペネム感性率は、1997~2000 年に欧州で

9

55.7%、北米で 88.8%であったが、2013~2016 年ではそれぞれ 13.7%、54.9%まで

10

悪化したと報告された 94。

11

カルバペネム耐性には主に β-ラクタマーゼ、特に Oxacillinase(OXA)が関わり、

12

OXA-23、-40/24、-51、-58 が主要なものと知られる 96-98。このうち、OXA-51 は通

13

常染色体性に保有しプロモーター活性を有す挿入配列を獲得することにより発現す

14

る。一方、OXA-23、-40/24、-58 エラー! 参照元が見つかりません。はプラスミド性に伝播・獲得

15

する。メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)も関与する 99。MBL はプラスミド等を介して

16

種を超えて伝播可能で 100、カルバペネム耐性が広がる機序の一つとなっている。ペ

17

ニシリン結合蛋白(PBP)の変異、細胞外膜のポーリンの減少や排出ポンプが関与

18

することもある 99。カルバペネム耐性に寄与する機序は地域ごとに分布が異なり、

19

欧州では OXA-23 が 80%以上を占めるのに対して、米国では OXA-23 は 50%程度で、

20

OXA-24 も約 30%に、カルバペネマーゼ陰性のものも 10%以上で認められたエラー! 参照

21

元が見つかりません。



22
23

(ii) 微生物検査に関する留意事項

24

発生届上の「薬剤耐性」の定義は、広域 β-ラクタム系抗菌薬(基準上はカルバペ

25

ネム系)・アミノ配糖体(アミノグリコシド)・フルオロキノロン系抗菌薬の 3 系統

26

の 薬 剤 に 対 し て 耐 性 を 示 す ( イ ミ ペ ネ ム の MIC≥16 μg/mL、 ア ミ カ シ ン の

27

MIC≥32 µg/mL、シプロフロキサシンの MIC≥4 µg/mL)ことである 102。これらの耐

28

性と判定される MIC のカットオフは、CLSI の定める判定基準に照らし合わせると、

29

2011 年まで利用されていた基準が採用されており、現行の基準 66 とは異なっている

30

点には注意を要する 103。また、JANIS の MDRA の基準では、イミペネム又はメロペ

31

ネ ム の MIC≥16 µg/mL、 ア ミ カ シ ン の MIC≥32 µg/mL、 シ プ ロ フ ロ キ サ シ ン の

32

MIC≥4 μg/mL 又はレボフロキサシンの MIC≥8 μg/mL と規定されている(厚生労働省

33

院内感染対策サーベイランス:薬剤耐性菌判定基準[ver3.2])104。さらに、国内で

34

も使用されることの多い微生物感受性検査装置等、リファレンス法以外の方法を用

79