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【参考資料2-3】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編 (17 ページ)
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| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
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第四版
薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編
基準を満たした株に対しては mCIM、あるいは Carba NP 法で確認検査を行うエラー! 参
照元が見つかりません。
。これらの検査でカルバペネマーゼ陽性と判断された株に対しては、
3
mCIM と eCIM を組み合わせて MBL かどうかの判定を行うか、あるいはイムノクロ
4
マトグラフィー法や遺伝子検査(PCR、マイクロアレイ法)を用いて具体的な酵素
5
型を判定する(図 1)。
6
7
治療方針
8
①
総論
9
CRE 感染症で治療に難渋する最大の理由は、カルバペネムを含めた既存の β-ラク
10
タム系抗菌薬に広範な耐性を示すために、コリスチンやチゲサイクリン、アミノグ
11
リコシド系、ホスホマイシン点滴静注等の臨床的有効性が確立しておらず、かつ有
12
害事象の頻度も高い、バランスに欠いた非 β-ラクタム系抗菌薬(以下、これら 4 系
13
統の抗菌薬を既存薬と呼ぶ)を利用しなければならなくなるためである。そのため
14
に、米国では 2015 年以降、アビバクタム/セフタジジムやバボルバクタム/メロペネ
15
ム(国内未承認薬)、レレバクタム/イミペネム/シラスタチン、セフィデロコル等、
16
いずれも米国で最も頻度の高いカルバペネマーゼである KPC 型に対して活性を有す
17
る複数の新規 β-ラクタム系抗菌薬が開発されて市場に導入され、重症例を中心に利
18
用されてきた背景がある。実際、新規 β-ラクタム系抗菌薬の一部(特にアビバクタ
19
ム/セフタジジム)では、CPE を含む CRE による重症感染症において、これらの既
20
存薬による最善の治療(best available therapy:BAT)よりも予後が改善することが
21
示されている(詳細は付録 p.15-16 参照)75-77。
22
一方で、フルオロキノロン系や ST 合剤等の非 β-ラクタム系抗菌薬への感性が確認
23
された場合、特に軽症あるいは尿路感染症例では、カルバペネム感性腸内細菌目細
24
菌による感染症と同様、治療に利用可能である。既に、腸内細菌目細菌菌血症 62、
25
あるいは ESBL/AmpC 産生腸内細菌目細菌菌血症 59 では、特に非重症例において、
26
経口吸収率の高いフルオロキノロン系抗菌薬や ST 合剤による経口ステップダウン治
27
療を行っても、静注抗菌薬によって治療を継続する場合と比較して予後は悪化しな
28
いことが明らかとなっている。
29
CRE による重症感染症において、新規 β-ラクタム系抗菌薬が利用できない状況下
30
での併用療法の有用性に関してはまだ議論は決していない(詳細は付録 p.14-15 参照)
31
78。仮に併用療法を行う場合でも、どの抗菌薬の併用が優れているのかを示したデー
32
タは殆どなく、特に日本で頻度の高い MBL 産生 CPE 感染症(あるいは non-CP-CRE
33
感染症)に特化して、併用療法と単剤治療を比較したデータはない 79。なお、日本
34
の CPE を含む CRE 感染症は大半が単剤で治療されており 67,80、症例数は限定される
35
が併用療法による死亡率の低下は確認されていない。一方で、新規 β-ラクタム系抗
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薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編
基準を満たした株に対しては mCIM、あるいは Carba NP 法で確認検査を行うエラー! 参
照元が見つかりません。
。これらの検査でカルバペネマーゼ陽性と判断された株に対しては、
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mCIM と eCIM を組み合わせて MBL かどうかの判定を行うか、あるいはイムノクロ
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マトグラフィー法や遺伝子検査(PCR、マイクロアレイ法)を用いて具体的な酵素
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型を判定する(図 1)。
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治療方針
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①
総論
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CRE 感染症で治療に難渋する最大の理由は、カルバペネムを含めた既存の β-ラク
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タム系抗菌薬に広範な耐性を示すために、コリスチンやチゲサイクリン、アミノグ
11
リコシド系、ホスホマイシン点滴静注等の臨床的有効性が確立しておらず、かつ有
12
害事象の頻度も高い、バランスに欠いた非 β-ラクタム系抗菌薬(以下、これら 4 系
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統の抗菌薬を既存薬と呼ぶ)を利用しなければならなくなるためである。そのため
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に、米国では 2015 年以降、アビバクタム/セフタジジムやバボルバクタム/メロペネ
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ム(国内未承認薬)、レレバクタム/イミペネム/シラスタチン、セフィデロコル等、
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いずれも米国で最も頻度の高いカルバペネマーゼである KPC 型に対して活性を有す
17
る複数の新規 β-ラクタム系抗菌薬が開発されて市場に導入され、重症例を中心に利
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用されてきた背景がある。実際、新規 β-ラクタム系抗菌薬の一部(特にアビバクタ
19
ム/セフタジジム)では、CPE を含む CRE による重症感染症において、これらの既
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存薬による最善の治療(best available therapy:BAT)よりも予後が改善することが
21
示されている(詳細は付録 p.15-16 参照)75-77。
22
一方で、フルオロキノロン系や ST 合剤等の非 β-ラクタム系抗菌薬への感性が確認
23
された場合、特に軽症あるいは尿路感染症例では、カルバペネム感性腸内細菌目細
24
菌による感染症と同様、治療に利用可能である。既に、腸内細菌目細菌菌血症 62、
25
あるいは ESBL/AmpC 産生腸内細菌目細菌菌血症 59 では、特に非重症例において、
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経口吸収率の高いフルオロキノロン系抗菌薬や ST 合剤による経口ステップダウン治
27
療を行っても、静注抗菌薬によって治療を継続する場合と比較して予後は悪化しな
28
いことが明らかとなっている。
29
CRE による重症感染症において、新規 β-ラクタム系抗菌薬が利用できない状況下
30
での併用療法の有用性に関してはまだ議論は決していない(詳細は付録 p.14-15 参照)
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78。仮に併用療法を行う場合でも、どの抗菌薬の併用が優れているのかを示したデー
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タは殆どなく、特に日本で頻度の高い MBL 産生 CPE 感染症(あるいは non-CP-CRE
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感染症)に特化して、併用療法と単剤治療を比較したデータはない 79。なお、日本
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の CPE を含む CRE 感染症は大半が単剤で治療されており 67,80、症例数は限定される
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が併用療法による死亡率の低下は確認されていない。一方で、新規 β-ラクタム系抗
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