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【参考資料2-3】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編 (23 ページ)
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| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
第四版
1
(4) 緑膿菌
2
疫学の概要と臨床的特徴
薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編
3
国内では薬剤耐性緑膿菌感染症は 5 類定点把握届出疾患 104 であるが、感染症法で
4
定義される薬剤耐性緑膿菌と、世界標準での多剤耐性緑膿菌(multidrug-resistant
5
Pseudomonas aeruginosa:MDRP)の定義は異なっている点には注意を要する(詳
6
細は付録 p.20-21 参照)。
7
なお、過去の薬剤耐性菌に関する定義では各抗菌薬カテゴリーの重みづけは成さ
8
れておらず、効果と毒性のバランスが取れている抗菌薬(例:β-ラクタム系やフル
9
オロキノロン系)とバランスを欠いている抗菌薬(例:アミノグリコシド系やポリ
10
ミキシン系)が同列で扱われている点が臨床に落とし込む際に難点となっていたた
11
め、近年新たに難治耐性緑膿菌(difficult-to-treat resistant P. aeruginosa:DTR-PA)
12
という概念が提唱されている 105。DTR-PA は、(新薬を除く)全 β-ラクタム系抗菌薬
13
とフルオロキノロン系抗菌薬に非感性を示す緑膿菌株、と定義される。つまり、
14
DTR-PA 感染症では、既存薬の中ではアミノグリコシド系、ポリミキシン系抗菌薬し
15
か活性のある抗菌薬がない、ということになる。この臨床に即した DTR-PA の概念
16
は、海外の耐性菌治療のガイダンスやガイドラインでも広く採用されている 37,82。
17
18
微生物学的診断
19
日本における、カルバペネム(正確にはメロペネム)耐性緑膿菌の中で、カルバ
20
ペネマーゼ産生株は 5%未満にすぎずエラー! 参照元が見つかりません。最も頻度の高いカルバペ
21
ネマーゼは IMP 型である(詳細は付録 p.20-21 参照)。IMP 型に関してはメロペネム
22
に高度耐性を示す 107 ため、CPE のようにカルバペネム感性のカルバペネマーゼ産生
23
株を懸念する必要性は乏しく、原則的にカルバペネム(メロペネム)耐性でのスク
24
リーニングが可能である。
25
スクリーニング陽性株に対しては mCIM や Carba NP 法エラー! 参照元が見つかりません。、ある
26
いは CIMTris 法 108 で確認検査を行う。これらの検査でカルバペネマーゼ陽性と判定
27
された株に対しては、イムノクロマトグラフィー法や遺伝子検査法(PCR、マイク
28
ロアレイ法)を用いて具体的な酵素型を決定する。
29
30
治療方針
31
以下、断りのない限り、薬剤感受性及びカルバペネマーゼ非産生株であることが
32
確認されている前提で述べる。MDRP 感染症の場合、既存の β-ラクタム系抗菌薬の
33
いずれかに感性が保たれていれば、(たとえカルバペネム系抗菌薬に耐性であったと
34
しても)感性の確認された β-ラクタム系抗菌薬を選択できる 37。ただし、MDRP 感
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第四版
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(4) 緑膿菌
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疫学の概要と臨床的特徴
薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編
3
国内では薬剤耐性緑膿菌感染症は 5 類定点把握届出疾患 104 であるが、感染症法で
4
定義される薬剤耐性緑膿菌と、世界標準での多剤耐性緑膿菌(multidrug-resistant
5
Pseudomonas aeruginosa:MDRP)の定義は異なっている点には注意を要する(詳
6
細は付録 p.20-21 参照)。
7
なお、過去の薬剤耐性菌に関する定義では各抗菌薬カテゴリーの重みづけは成さ
8
れておらず、効果と毒性のバランスが取れている抗菌薬(例:β-ラクタム系やフル
9
オロキノロン系)とバランスを欠いている抗菌薬(例:アミノグリコシド系やポリ
10
ミキシン系)が同列で扱われている点が臨床に落とし込む際に難点となっていたた
11
め、近年新たに難治耐性緑膿菌(difficult-to-treat resistant P. aeruginosa:DTR-PA)
12
という概念が提唱されている 105。DTR-PA は、(新薬を除く)全 β-ラクタム系抗菌薬
13
とフルオロキノロン系抗菌薬に非感性を示す緑膿菌株、と定義される。つまり、
14
DTR-PA 感染症では、既存薬の中ではアミノグリコシド系、ポリミキシン系抗菌薬し
15
か活性のある抗菌薬がない、ということになる。この臨床に即した DTR-PA の概念
16
は、海外の耐性菌治療のガイダンスやガイドラインでも広く採用されている 37,82。
17
18
微生物学的診断
19
日本における、カルバペネム(正確にはメロペネム)耐性緑膿菌の中で、カルバ
20
ペネマーゼ産生株は 5%未満にすぎずエラー! 参照元が見つかりません。最も頻度の高いカルバペ
21
ネマーゼは IMP 型である(詳細は付録 p.20-21 参照)。IMP 型に関してはメロペネム
22
に高度耐性を示す 107 ため、CPE のようにカルバペネム感性のカルバペネマーゼ産生
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株を懸念する必要性は乏しく、原則的にカルバペネム(メロペネム)耐性でのスク
24
リーニングが可能である。
25
スクリーニング陽性株に対しては mCIM や Carba NP 法エラー! 参照元が見つかりません。、ある
26
いは CIMTris 法 108 で確認検査を行う。これらの検査でカルバペネマーゼ陽性と判定
27
された株に対しては、イムノクロマトグラフィー法や遺伝子検査法(PCR、マイク
28
ロアレイ法)を用いて具体的な酵素型を決定する。
29
30
治療方針
31
以下、断りのない限り、薬剤感受性及びカルバペネマーゼ非産生株であることが
32
確認されている前提で述べる。MDRP 感染症の場合、既存の β-ラクタム系抗菌薬の
33
いずれかに感性が保たれていれば、(たとえカルバペネム系抗菌薬に耐性であったと
34
しても)感性の確認された β-ラクタム系抗菌薬を選択できる 37。ただし、MDRP 感
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