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【参考資料2-3】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編 (68 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編

1

CPE あるいは non-CP-CRE 感染症である点には注意が必要である。残念ながら、

2

IMP 型を含む MBL 産生 CPE 感染症に関しては、新規 β-ラクタム系抗菌薬の中で単

3

剤でも活性が期待できるのはセフィデロコルに限られており、MBL 産生菌を含む

4

CRE 感染症においてセフィデロコルを単剤で使用すべきなのか、併用療法で使用す

5

べきなのかという命題については、まだデータがない。カルバペネム耐性グラム陰

6

性桿菌による重症感染症を対象として既存薬とセフィデロコルを比較した第 3 相試

7

験 33 では併用療法が許容されていたが、実際には MBL 型 CPE 症例の 8/10 例(80%)

8

ではセフィデロコル単剤で治療が行われていた 34 一方で、その後にイタリアで実施

9

された MBL 型 CPE 感染症を対象とした観察研究ではセフィデロコル治療群の 29/33

10

例(87.9%)で併用療法がおこなわれていた 35。いずれの検討でもセフィデロコル治

11

療群における単剤治療と併用療法での治療成績の比較は成されていない。また、含

12

まれる MBL 型 CPE の大半は NDM あるいは VIM 型である点には注意が必要である。

13

ESCMID ガイドライン 30 では CRE 感染症において、これらの新規 β-ラクタム系抗

14

菌薬が利用できない重症感染症では、既存薬の中から 2 剤以上の活性のある抗菌薬

15

での治療を条件付きで推奨している。一方で軽症感染症においては、単剤治療を有

16

益性の高い医療行為(good practice statement)として推奨している。

17

観察研究ではメロペネムの MIC≤8 μg/mL の場合にはメロペネムを併用レジメンに

18

含むことによって 36、特に重症患者 37 では予後が改善する可能性が示唆されている。

19

カルバペネム耐性グラム陰性桿菌菌血症において、コリスチンとメロペネムの併用

20

療法とコリスチン単剤治療を比較した 2 つのランダム化比較試験 38,39 内の CRE 菌血

21

症のみでのサブ解析では、症例数が少なく統計学的有意差には至らないものの、数

22

字上は併用療法で死亡率が低下することがいずれの研究でも示されている。注意が

23

必要なのは、併用療法と単剤治療を比較した各研究において対象となっている CRE

24

感染症は KPC 型 CPE 感染症が大半を占めているという点で、残念ながら、日本で

25

最も頻度の高い IMP 型を含む MBL 産生 CPE 感染症において併用療法と単剤治療を

26

比較した研究はない 40。

27
28

(iv) CRE 感染症における新規 β-ラクタム系抗菌薬のエビデンス

29

アビバクタム/セフタジジムは KPC 型を中心として CRE 感染症における治療実績

30

が最も豊富であり、既にメタ解析(含まれるのは観察研究のみ)で、CRE 感染症 41、

31

KPC 型 CPE 感染症 42 においてポリミキシン系やアミノグリコシド系を軸とした best

32

available therapy(BAT)と比して死亡リスクが低下し、腎毒性のリスクが減少する

33

ことが示されている。また、OXA-48-like 型 CPE 菌血症においても、BAT と比して

34

死亡率が低下することが複数の観察研究で示されている 43。

68