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【参考資料2-3】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編 (42 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

1

(7) カンジダ属菌

2

疫学の概要と臨床的特徴

薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編

3

世界では年間約 650 万人が侵襲性真菌感染症を罹患し、このうち 380 万人(約

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60%)が亡くなっている 217。このうち、侵襲性カンジダ症は 156 万人を占め、侵襲

5

性アスペルギルス症の 211 万人に次いで多い。カンジダ血症や深在性カンジダ症あ

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るいはいずれも認める侵襲性カンジダ症の死亡率は、63.6%と不良である 217。侵襲

7

性カンジダ症の主な侵入門戸は、皮膚や血管内カテーテル、消化管である 218。

8

カンジダの主要 5 菌種は Candida albicans、Candida glabrata、Candida tropicalis、

9

Candida parapsilosis、Candida krusei で、C. glabrata と C. krusei のアゾール耐性、

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C. parapsilosis のキャンディン自然耐性やバイオフィルム形成による CRBSI が問題

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となっている 218-220。また、C.glabrata については FKS 遺伝子変異によるキャンディ

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ン耐性の増加が世界各地で報告されており 221-223、国内からの報告 224 でも 32.6%で

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カスポファンギン、4.7%でミカファンギンに耐性、4.7%に多剤耐性を示した。国内

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で 2009 年に初めて耳道検体から検出された Candida auris は、その後世界各地で検

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出されるようになり、生化学性状を基にした同定検査機器では同定困難であること、

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アゾール耐性(87~100%)だけでなく、ポリエンに対しても耐性(8~35%)であ

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ること、死亡率が 29~62%と予後不良であることが問題となっている 221-223,225-227。

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侵襲性カンジダ症のリスク因子は、広域抗菌薬使用、中心静脈カテーテル、中心

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静脈栄養、腹部外科術後、APACHEII スコア高値、悪性腫瘍、好中球減少、化学療法、

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移植後、急性腎障害、血液透析、糖尿病、長期入院や ICU 入室、未熟児・低出生体

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重等である 219,220。

22
23

微生物学的診断

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侵襲性カンジダ症の臨床診断に参考とできる血清診断法スクリーニング検査とし

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ては血中 β-D-グルカン(感度 65~85%、特異度 75~85%)224,225,228,229 やカンジダ

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抗原(感度 79~87%、特異度 82~90%)220、確定診断には血液培養(感度~50%、

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特異度不明)218 や FilmArray®血液培養パネル(bioMérieux 社)230 がある。現在国内

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で使用可能な β-D-グルカンの測定キットには複数のものがあるが、それぞれにカッ

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トオフ値が異なる点に留意する。陰性的中率は高い一方、抗菌薬やアルブミン投与

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下で偽陽性になることに留意する 231,232。カンジダ抗原は、血液培養陰性の肝・脾・

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中枢神経カンジダ症の検出に有用である。血液培養は陽性化までに 2~3 日間必要で

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あることに加え、陽性率も低いことに留意する 218-220。FilmArray®血液培養パネルは

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2017 年 10 月に保険収載された遺伝子検査で、血液培養陽性ボトルから直接、約 1 時

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間程度でグラム陽性菌・グラム陰性菌・酵母様真菌の菌種 24 種類を同定可能である。

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