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【参考資料2-3】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編 (43 ページ)
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| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
第四版
薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編
1
しかし、先述した主要 5 菌種以外の同定はできないこと、過去の報告では十分な陽
2
性検体数が評価されていないことに留意すべきである 233,234。
3
カンジダスコアは侵襲性カンジダ症を予測するスクリーニング検査で、①中心静
4
脈栄養(1 点)、②手術(1 点)、③複数部位でのコロニゼーション(1 点)、④重要敗
5
血症(2 点)の 4 項目(計 5 点)中のうち 3 点以上で侵襲性カンジダ症発症を予測す
6
る(感度 81%、特異度 74%[実際の研究では点数を整数化せずに、カットオフ 2.5
7
点で計算])235。
8
9
治療方針
10
治療は大きく抗真菌薬治療と感染巣コントロール(血管内カテーテルや人工物の
11
抜去、外科的ドレナージやデブリドマン)に分けられ、前者はさらに目的別で以下
12
へ分類される 219。
13
a) 予防投与的治療:無症状で造血幹細胞や臓器移植後の持続する好中球減少症例
に実施
14
15
b) 経験的治療:有症状で ICU に 96 時間以上滞在し、広域抗菌薬投与中で中心静脈
栄養、消化管手術又は敗血症がある症例に実施
16
17
c)
先制治療:経験的治療で挙げられた条件に加えて β-D-グルカン陽性あるいは複
18
数部位でのコロニゼーションが確認された症例に実施
19
d) 標的治療:無菌部位から培養が検出された症例に対して実施
20
21
抗真菌薬は、その作用機序により細胞壁合成を阻害(エキノキャンディン系)あ
22
るいは細胞膜を破壊(ポリエン系)する殺菌性抗真菌薬と細胞膜合成阻害(アゾー
23
ル系)する静菌性抗真菌薬へと分類される 219,236。抗真菌薬の分類(表 12)と投与
24
量(表 13)を以下に示す。
25
好中球減少のない侵襲性カンジダ症に対する殺菌性抗真菌薬と静菌性抗真菌薬の
26
有効性を 8 つの無作為化比較試験 1335 症例で比較したメタアナリシスでは 237、治
27
療成功率(OR1.61, 95%CI 1.27-2.03, P<0.0001)、持続感染や再発(OR1.82, 95%CI
28
1.35-2.51, P<0.0005)はそれぞれ殺菌性抗真菌薬で有意に有効だったが、長期生存
29
率は両群間に有意差を認めなかった(OR 0.97, 95%CI 0.77-1.21, P=0.77)。また、
30
侵襲性カンジダ症に対するエキノキャンディン系、ポリエン系、アゾール系抗真菌
31
薬の効果を 13 の無作為化比較試験 3,528 症例で比較したメタアナリシスでは、エキ
32
ノキャンディン系抗真菌薬が最も治療成功率が高かったが、生存率の有意差は見ら
33
れなかった 238。以上の結果を踏まえ、侵襲性カンジダ症に対しては、殺菌性作用を
34
示すエキノキャンディン系(ミカファンギン、カスポファンギン)かポリエン系
35
(アムホテリシン B、アムホテリシン B リポソーム製剤)が第一選択で 219,236,239、一
43
第四版
薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編
1
しかし、先述した主要 5 菌種以外の同定はできないこと、過去の報告では十分な陽
2
性検体数が評価されていないことに留意すべきである 233,234。
3
カンジダスコアは侵襲性カンジダ症を予測するスクリーニング検査で、①中心静
4
脈栄養(1 点)、②手術(1 点)、③複数部位でのコロニゼーション(1 点)、④重要敗
5
血症(2 点)の 4 項目(計 5 点)中のうち 3 点以上で侵襲性カンジダ症発症を予測す
6
る(感度 81%、特異度 74%[実際の研究では点数を整数化せずに、カットオフ 2.5
7
点で計算])235。
8
9
治療方針
10
治療は大きく抗真菌薬治療と感染巣コントロール(血管内カテーテルや人工物の
11
抜去、外科的ドレナージやデブリドマン)に分けられ、前者はさらに目的別で以下
12
へ分類される 219。
13
a) 予防投与的治療:無症状で造血幹細胞や臓器移植後の持続する好中球減少症例
に実施
14
15
b) 経験的治療:有症状で ICU に 96 時間以上滞在し、広域抗菌薬投与中で中心静脈
栄養、消化管手術又は敗血症がある症例に実施
16
17
c)
先制治療:経験的治療で挙げられた条件に加えて β-D-グルカン陽性あるいは複
18
数部位でのコロニゼーションが確認された症例に実施
19
d) 標的治療:無菌部位から培養が検出された症例に対して実施
20
21
抗真菌薬は、その作用機序により細胞壁合成を阻害(エキノキャンディン系)あ
22
るいは細胞膜を破壊(ポリエン系)する殺菌性抗真菌薬と細胞膜合成阻害(アゾー
23
ル系)する静菌性抗真菌薬へと分類される 219,236。抗真菌薬の分類(表 12)と投与
24
量(表 13)を以下に示す。
25
好中球減少のない侵襲性カンジダ症に対する殺菌性抗真菌薬と静菌性抗真菌薬の
26
有効性を 8 つの無作為化比較試験 1335 症例で比較したメタアナリシスでは 237、治
27
療成功率(OR1.61, 95%CI 1.27-2.03, P<0.0001)、持続感染や再発(OR1.82, 95%CI
28
1.35-2.51, P<0.0005)はそれぞれ殺菌性抗真菌薬で有意に有効だったが、長期生存
29
率は両群間に有意差を認めなかった(OR 0.97, 95%CI 0.77-1.21, P=0.77)。また、
30
侵襲性カンジダ症に対するエキノキャンディン系、ポリエン系、アゾール系抗真菌
31
薬の効果を 13 の無作為化比較試験 3,528 症例で比較したメタアナリシスでは、エキ
32
ノキャンディン系抗真菌薬が最も治療成功率が高かったが、生存率の有意差は見ら
33
れなかった 238。以上の結果を踏まえ、侵襲性カンジダ症に対しては、殺菌性作用を
34
示すエキノキャンディン系(ミカファンギン、カスポファンギン)かポリエン系
35
(アムホテリシン B、アムホテリシン B リポソーム製剤)が第一選択で 219,236,239、一
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