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参考資料3_医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版) (205 ページ)

公開元URL https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00004.html
出典情報 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第1回 7/19)《文部科学省》
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Ⅳ. 方略
1.臨床実習の形態
臨床実習は診療参加型を基本形態とする。診療参加型臨床実習は、「指導医や研修医、さらには看護師や薬剤
師等の他の職種も含めた診療チームの中で、医学生が診療チームの一員として一定の役割・責任を担いながら行
う臨床実習」と定義される。基本的臨床手技に加え、外来で予診をとる役割や、病棟患者の疾患についての知見
(エビデンス)を確認する役割、また患者の検査に同行して不安を和らげる役割等が例として挙げられる。診療現
場では、医学生が担うことのできる役割は、一般的に指導医が想定しているよりも大きい。正統的周辺参加論 61
を参考に、「些細なことでもよいので臨床現場で実際に役割を担うことによって得られるやりがい」を医学生の
学修動機(モチベーション)とできるような臨床実習を構築する。また見学型の臨床実習にならざるを得ない場合
は、学生が臨床現場で観察したことを記録して指導医との振り返りでそれを基に討論するなど、積極的な学びに
なるように実習を計画する。
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2.臨床実習を行う診療科等
臨床実習においては、いずれの診療科(基本診療科)においても、患者を担当し、その診療に可能な限り参加す
ることで、「必要な診察ができる」、「主訴からの診断推論を組み立てられる」、「疾患の病態や疫学を理解し
ている」、「基本的な治療計画を立案できる」、「どのようにコンサルテーションすればよいかを理解してい
る」という学修目標を達成することが望まれる。
診療参加型臨床実習として、医学生が診療チームの一員として一定の役割・責任を担いながら実習を行うに
は、特に、内科(各専門科を含む)、外科(各専門科を含む)、小児科、産婦人科、精神科、総合診療科では、原則
1診療科あたり連続 3 週間以上の配属期間の中で、指導に当たる医師から継続的な評価を受ける必要がある。な
お、全人的な診療能力・態度を涵養する目的で、4 週間以上連続して配属する診療科を 1 診療科以上確保するこ
とが重要である。災害リスクの高まりや世界情勢等を踏まえ、総合的に患者・生活者をみる医師を養成する観点
から、救急科も原則 3 週間以上(またはそれに相当する期間)の実習が求められる。
なお、臨床実習を行う診療科等として、基本診療科の他、歯科口腔外科、中央診療部門等での実習も考えられ
る。また、研究マインドの涵養を目的とした臨床実習の期間における研究活動も考えられる。
臨床実習を行う場については、一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病を経験することの重要性等の
理由で、大学病院だけでなく、指導医の質・量が十分に保証された学外実習協力医療機関で行うことも推奨され
る。また病棟だけでなく、外来も積極的に活用し、十分に経験できない診療内容についてはシミュレーション教
育も活用する。総じて全学年を通して、臨床現場を活用した臨床教育を推進することが望まれる。各大学におか
れては、必要な学修内容が十分担保できるよう、十分な実習時間の確保に配慮いただきたい。そして、医師とし
て求められる基本的な資質・能力の将来的な獲得に向けて学生が継続的に歩み続けられるようサポートする。

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西城卓也. 正統的周辺参加論と認知的徒弟制. 医学教育. 2012; 43(4): 292–3.
https://doi.org/10.11307/mededjapan.43.292
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