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参考資料3_医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版) (119 ページ)

公開元URL https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00004.html
出典情報 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第1回 7/19)《文部科学省》
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に識別するために、問題文や選択肢を吟味する必要がある。選択式は、記号で示された複数の選択肢からあて
はまるものを選ぶ形式で、国家試験や共用試験 CBT 等で採用されている。選択肢の形式は択一、複数選択等が
ある。客観試験に共通する問題吟味の必要性に加え、本形式特有のピットフォールとして、選択肢を手がかり
にして解答を導けたり、わからなくても適当に解答できる場合があることが知られている。選択肢数や採点方
法を工夫することである程度克服することができる。
3) 記述試験
解答を記述する形式の試験で、短答式と論述式に大別される。短答式は語句、数値、数式、化学式、英単語
等、文を構成しない短い解答を記述する問題である。論述式は文章で解答を記述する問題で、広義には図表で
解答させるものも含む。客観式に比べ、情報を応用する、分析するといった深い認知的能力を問いやすくなる
が、限られた試験時間では評価すべき領域を十分網羅できない場合もある。また、採点には比較的労力を要す
るだけでなく、特に論述式で再現性を保つためには、ルーブリック等の採点基準を用意する必要がある。
コラム「医学教育の特性に合わせた特殊な筆記試験」
知識を活用して推論する能力を筆記試験で評価するために、Key Features 問題(事例を提示し、その問題解
決につながる病歴、診察、検査等の要点を問う)、Script Concordance テスト(事例と臨床仮説を提示し、あ
る情報が加わることでその仮説がどう変化するかを問う)、順次解答連問(ある事例の診療経過に沿った各段
階での判断を順次問うもので、前問の正答となる情報を都度追加提示することで、各段階の推論能力に焦点
をあてた評価を行う) 等の形式が開発されている。
4) Workplace-based Assessment(観察評価)
Workplace-based Assessment は、診療現場における学修者評価と訳されることがある。日常的な行動・態度
の評価を通じて実践的能力を評価できる。主に評価者の観察によって評価できる。異なる評価者でも一定の観
点と尺度で評価できるよう、ルーブリックの作成を推奨する。一方、評価のばらつきは学修者能力の多面的な
観察を示唆するため、その最小化を目指す必要はない。むしろ、様々な立場の評価者を設けること(360 度評
価)や、根拠の詳細を記述することが、観察評価を能力と一般化して判定する際には重要である。
5) OSCE
OSCE(Objective Structured Clinical Examination)は客観的臨床能力試験と訳される。あらかじめ定めら
れた共通の課題を用いて学修者のパフォーマンスを評価する。評価では共通の規準・基準を用いる。学修者
(受験者)は、共通の物品等が準備された各試験室で試験を受ける。臨床に関する資質・能力のうち、技能や態
度についての評価に適している。客観的に評価できるという特長があるが、実施にあたっては多くの人的・物
的・時間的リソースが必要である。臨床実習開始前や臨床実習終了後に、全国で大規模な共用試験 OSCE が実
施されている。そのほか、臨床実習の診療科ローテート中またはローテート後に、形成的あるいは総括的評価
の目的で OSCE を実施することがある。
6) ポートフォリオ評価
ポートフォリオとは、学修者の成果や一定期間にわたる自己省察を通じての知識、技能、態度や理解の向
上、及びプロフェッショナルとしての成長を示す記録を蓄積したものである。卒前の医学教育では、症例報
告、経験した手技のチェックリスト、観察評価、研究成果レポート、学会参加、学修したことに関する自己省
察等が含まれる。評価と学修が密接に連携していることや、プロフェッショナリズム等、従来の方法では評価
が難しかった領域で学生を評価できることから注目されるようになった。

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