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資 料4-1 令和3年度第6回安全技術調査会の審議結果について (212 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26025.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会血液事業部会(令和4年度第1回 6/8)《厚生労働省》
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6)血小板輸血

原則として血小板輸血を避ける。ただし重篤な出血合併症があったり、侵襲的な処置が必要
となった場合は考慮してもよい。

7)新鮮凍結血漿

血液製剤の使用指針に基づき、フィブリノゲン低下(参考値:150 mg/dL 以下, またはこれ
以下に進展する危険性がある場合)、PT 延長(PT-INR 2.0 以上, または PT 30%以下)、APTT 延長
(各施設における基準の上限の 2 倍以上, または 25%以下)を伴う場合には、新鮮凍結血漿の補充を
考慮する。
8)血漿交換[保険適用外]

高用量 IVIg に治療抵抗性を示す場合、血漿交換を考慮できる。血漿交換を繰り返すことに
より、抗血小板第 4 因子抗体を低下させ、血小板の活性化を抑えられる可能性が、HIT において報告さ
れている[25]。ただし、抗血小板第 4 因子抗体を完全に除去することは困難であり、出血のリスクも伴
うことから、高用量 IVIg に治療抵抗性を示す症例に限定することが望ましい。

9)慢性期の治療

TTS 慢性期においては経口抗凝固薬の継続が妥当である。本邦において DOAC は非弁膜症性心
房細動および静脈血栓塞栓症以外の保険適用はない。従って、TTS で多くみられる脳静脈血栓症におい
ては、血小板が完全に回復した後より、ヘパリン以外の抗凝固薬(アルガトロバン,フォンダパリヌ
クス,ダナパロイド等)を併用した上でワルファリンを開始し、PT-INR 2.0-3.0 を目標としたワルフ
ァリンによる抗凝固療法の継続を考慮する。併用したヘパリン以外の抗凝固薬はワルファリンが治療
域に達してから中止する。一方、血小板減少を伴わない脳静脈血栓症において、ダビガトラン[保険
適用外]とワルファリンを比較した無作為化試験[26]や、DOAC[保険適用外]の安全性を示唆するメタ
解析[27]があり、AHA/ASA Stroke Council Leadership は、TTS に関連した脳静脈血栓症において、血
小板が完全に回復した後より、ワルファリン以外に DOAC[保険適用外]の使用も提案している[28]。
静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)合併例ではワルファリン以外に DOAC の使用も考
慮される。これら以外の臓器における静脈血栓症では PT-INR 2.0-3.0 を目標としたワルファリンによ
る抗凝固療法の継続を考慮する。急性期より DOAC を開始し安定した症例では慢性期も DOAC 継続が妥
当であろうが、前述したように非弁膜症性心房細動および静脈血栓塞栓症以外に保険適用はない。血
小板減少を伴わない脳静脈血栓症における慢性期抗凝固療法は、少なくとも 3 ヵ月間の継続が妥当と
されているが、症例によっては 3 ヵ月以上の継続が選択され得る[29]。しかし、TTS に関連した脳静脈
血栓症における適切な抗凝固療法継続期間は不明である。これら経口抗凝固薬の終了前に血小板数、
D-ダイマーの正常化と血小板第 4 因子に対する抗体陰性化を確認することは参考になる[30]。

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