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第16回産科医療補償制度再発防止に関する報告書 (47 ページ)

公開元URL http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/documents/prevention/report/pdf/Saihatsu_Report_16_All.pdf
出典情報 第16回産科医療補償制度再発防止に関する報告書(3/27)《日本医療機能評価機構》
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Ⅱ.吸引娩出術について

ス分析値pH7.0未満の割合が高いことから、分析対象事例の多くが胎児機能不全の状態で吸引娩出術を
実施し、出生直後の児の状態が重篤であることがうかがえた。ただし、本章の分析対象事例は重度脳性
麻痺事例のみであり、吸引娩出術を実施したすべての分娩において同様の集計結果になるとは言い切れ
ない。また、今回の分析では、個別事例における胎児心拍数波形の検討は行っていないため、急速遂娩
実施の時期や方法の選択等の妥当性については、今後分析方法を検討する必要がある。
2)原因分析報告書の「臨床経過に関する医学的評価」に関連した分析
(1)吸引娩出術に関する指摘内容の分析
本章の分析対象事例240件について吸引娩出術の実施に関する指摘の有無をみると、指摘ありは44
(8.3%)と最も割合が高く、次いで総牽引回数が19件(7.9%)であった。加えて、吸引娩出術開始時
の子宮口開大度、判断と対応等のほかの項目にも指摘があった。このことから、吸引娩出術実施にあ
たっては、実施内容だけではなく、吸引娩出術に関連した判断や対応を適切に行う必要があるといえ
る。また、吸引娩出術が適正な方法で実施されているかの評価には、吸引娩出術に関連する内容を総合
的に分析することが必要であり、これは、第15回再発防止に関する報告書のテーマに沿った分析と同
様の結果6)である。
吸引娩出術は、多くの分娩機関で行われる手技である一方で、子宮胎盤循環の悪化、臍帯圧迫などに
よる胎児への酸素供給の減少および児の帽状腱膜下血腫等の合併症のリスク3)があり、総牽引時間が
30分を超えると児の頭蓋内出血の危険性が急激に増加する8)といわれている。産婦人科診療ガイドラ
インにおいて、総牽引時間が20分、あるいは、総牽引回数が5回を超えて児が娩出しない場合、鉗子娩
出術または帝王切開術を行うことが推奨されている3)。加えて、吸引娩出術の実施者について、産婦人
科診療ガイドラインにおいては原則として、その手技に習熟した医師が実施する、または習熟した医師
の指導下で医師が実施することが許容される3)と記載されている。これらのことより吸引娩出術実施に
あたっては、産婦人科診療ガイドラインの記載内容に沿って実施することが望まれる。また、吸引娩出
術をより安全に実施するために、医師は吸引娩出術実施に関する手技を向上させるよう研鑚が求められ
る。
(2)吸引娩出術に関する指摘の有無および分類別の分析
吸引娩出術に関する指摘の有無および分類(実施・記録)別に集計したところ、児娩出経路における
帝王切開術は、実施に関する指摘あり事例が20件(64.5%)
、実施・記録に関する指摘あり事例が4件
(30.8%)、記録に関する指摘あり事例が23件(29.5%)
、指摘なし事例が23件(19.5%)であり、実
施に関する指摘あり事例の割合が高かった(表3-Ⅱ-6)
。実施に関する指摘あり事例においては、緊急
度が高い状況で吸引娩出術を実施したが児娩出に至らず、帝王切開術を実施した事例の割合が高かった
と考えられた。
吸引娩出術の総牽引回数における不明の割合は、実施に関する指摘あり事例が2件(6.5%)
、実施・

43

第3章

件(18.3%)、指摘なしは196件(81.7%)であった(表3-Ⅱ-4)。指摘内容は、総牽引時間が20件