第16回産科医療補償制度再発防止に関する報告書 (46 ページ)
出典
| 公開元URL | http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/documents/prevention/report/pdf/Saihatsu_Report_16_All.pdf |
| 出典情報 | 第16回産科医療補償制度再発防止に関する報告書(3/27)《日本医療機能評価機構》 |
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テーマに沿った分析
4.考察
1)分析対象事例の概況
吸引娩出術は、母体および胎児の安全を確保するために行われる急速遂娩の方法の一つであり、日本
では多くの分娩施設で行われている重要な手技である。第15回再発防止に関する報告書のテーマに沿っ
た分析「子宮収縮薬について」の分析対象事例において、児娩出方法が吸引分娩であった事例は、周産
期統計の登録データを使用した重度脳性麻痺を発症していない事例群281,442件のうち20,207件
(7.2%)、本制度の補償対象事例からなる補償対象事例群237件のうち17件(7.2%)7)であり、各事例
群でほぼ同等の頻度であった。
本章の分析対象事例240件について概況をみたところ、初産婦・経産婦の別では、初産婦が179件
(74.6%)と割合が高かった(表3-Ⅱ-1)。初産婦は経産婦と比較し平均分娩所要時間が長く8)、母体疲
労等から吸引娩出術を必要とする割合が高い可能性がある。児娩出経路では経腟分娩が170件(70.8%)、
帝 王 切 開 術 が70件(29.2 %) で あ っ た( 表3-Ⅱ-2)。 経 腟 分 娩170件 の う ち、 吸 引 娩 出 術 は164件
(68.3%)であった。また、帝王切開術70件における帝王切開術決定から児娩出までの時間は、31分
未満が33件で47.1%、31分以上60分未満が20件で28.6%、60分以上が12件で17.1%、不明が5件で
7.1%であった。吸引娩出術は、帝王切開術と比較して母体の合併症が少ない3)ことに加え、急速遂娩
として吸引娩出術が選択された多くの事例で吸引娩出術により児娩出に至っていることから、急速遂娩
の方法として必要とされている手技であるということが確認された。ただし、吸引娩出術実施後に帝王
切開術を実施した事例があることや帝王切開術決定から児娩出までに時間を要した事例があることを踏
まえ、吸引娩出術実施にあたっては、帝王切開術への変更を想定し、人員確保や体制整備をした上で吸
引娩出術を実施することが望まれる。
本章の分析対象事例における概況のうち吸引娩出術実施状況に関する項目をみると、吸引娩出術の総
牽引回数では、5回以内が185件(77.1%)
、6回以上が18件(7.5%)
、不明が37件(15.4%)であっ
た。吸引娩出術の総牽引時間では、20分以内が114件(47.5%)
、21分以上が18件(7.5%)
、不明が
108件(45.0%)であった。吸引娩出術開始時の先進部の高さでは、≦-1が12件(5.0%)
、≧±0が
80件(33.3%)
、不明が148件(61.7%)であった。このように、低い割合ではあるが産婦人科診療ガ
イドラインの推奨内容に沿っていない事例が認められるため、吸引娩出術実施の際には、産婦人科診療
ガイドラインに沿って実施することが望まれる。
急速遂娩の適応では、胎児機能不全が152件(63.3%)
、分娩遷延・停止が36件(15.0%)
、微弱陣
痛が18件(7.5%)であり、胎児機能不全の割合が高かった。また、生後1分のアプガースコアでは、0~
3点が165件(68.8%)
、4~6点が24件(10.0%)
、7~10点が51件(21.3%)であった(表3-Ⅱ-3)
。
動 脈 血 ガ ス 分 析 実 施 の 有 無 に お け る 実 施 あ り の う ち、 臍 帯 動 脈 血 ガ ス 分 析 値pH7.0未 満 が96件
(40.0%)、pH7.0以上~7.1未満が11件(4.6%)
、pH7.1以上~7.2未満が16件(6.7%)
、pH7.2以上
が68件(28.3%)であった。このように、急速遂娩の適応では胎児機能不全の割合が高く、生後1分の
アプガースコアでは0~3点、臍帯動脈血ガス分析実施の有無における実施ありのうち、臍帯動脈血ガ
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