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第16回産科医療補償制度再発防止に関する報告書 (28 ページ)

公開元URL http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/documents/prevention/report/pdf/Saihatsu_Report_16_All.pdf
出典情報 第16回産科医療補償制度再発防止に関する報告書(3/27)《日本医療機能評価機構》
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第3章

テーマに沿った分析

Ⅱ.吸引娩出術について
1.はじめに
急速遂娩は、母体および胎児の安全を確保するため、迅速な分娩完了を要する状況で実施される手技
である。急速遂娩の適応には、胎児機能不全、分娩遷延、分娩停止、母体合併症および著しい母体疲労
等があげられる。その方法は、器械分娩と帝王切開術に分類され、器械分娩には吸引娩出術と鉗子娩出
術がある。帝王切開術は、母体および児の短期的予後を改善するために重要な手段である一方、侵襲性
が高く、術後合併症を引き起こす可能性もある。対して器械分娩は、経腟分娩を完遂させるために一定
の条件を満たしている必要があるものの、帝王切開術よりも短時間で児を娩出することができる1)。
器械分娩のうち吸引娩出術は、陰圧を利用して吸引カップを胎児の頭部に装着し、牽引ハンドルを用
いて牽引することで児を娩出する方法で、1954年に現代の吸引器に近いものが報告された2)。吸引娩
出術は、鉗子娩出術に比べて手技の習得が容易で母体の合併症が少ない3)ことから、日本では多くの分
娩施設で行われている重要な手技である。日本産科婦人科学会の周産期統計4)の報告によると、432の
登録施設における妊娠22週以上の分娩208,388件のうち、分娩様式が「吸引分娩」であった件数は
14,047件(6.7%)

「鉗子分娩」であった件数は2,846件(1.4%)であった。なお、周産期統計の登録
施設には日本の分娩取扱い数の48%を占める診療所は含まれておらず5)、
「吸引分娩」には吸引娩出術
実施後に鉗子娩出術や帝王切開術を実施した分娩は含まれていない。
これまで再発防止委員会では、第2回再発防止に関する報告書のテーマに沿った分析において「吸引
分娩について」を、第15回再発防止に関する報告書のテーマに沿った分析において「子宮収縮薬およ
び吸引分娩について」を取りまとめた。第2回再発防止に関する報告書のテーマに沿った分析において
は、実施の判断を適切に行い適正な方法で行うこと、実施中は随時分娩方法の見直しを行うこと、出生
した児を一定時間注意深く観察すること等を提言した。この第2回再発防止に関する報告書の発行から
すでに14年が経過し、その間に産婦人科診療ガイドラインは複数回改訂された。産婦人科診療ガイド
ライン等に記載された医学的知見も更新され、産科医療を取り巻く環境は日々変化している。また、再
発防止に関する報告書の分析対象事例は、第2回再発防止に関する報告書では79件であったものが、今
回の第16回再発防止に関する報告書では4,118件に増加している。さらに、吸引娩出術実施事例も第2
回再発防止に関する報告書の19件から今回の第16回再発防止に関する報告書では555件に増加してい
る(P91参照)
。これらのことから、繰り返し注意喚起することが重要と考えられる観点およびアップ
デートが必要と考えられる観点より、今回、吸引娩出術をテーマに沿った分析のテーマとして取り上げ
た。
吸引娩出術については、第9回再発防止に関する報告書から第15回再発防止に関する報告書において、
産科医療の質の向上への取組みの動向として「吸引分娩が行われた事例における総牽引回数」を出生年
別に集計している。第15回再発防止に関する報告書では、2009年から2018年出生の事例を集計対象
とし、産婦人科診療ガイドラインで推奨されている総牽引回数が5回以内であった事例について、2009

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